藤浪晋太郎の投球からは、これで開幕は大丈夫というものは見えなかった。5回4安打2失点(1自責)という数字はともかく、それなりに投げたという印象だった。

オリックスにすれば、開幕を1週間後に控えた最終段階にきて、主力で右打者の杉本、紅林らをスタメンから外さなければいけないのはベンチとしては複雑だっただろう。その点、左打者がズラリと並んだ打線を相手にした藤浪は投げやすかったはずだ。カーブ、カットボールに球速差をつけるなど工夫はうかがえた。

青柳に代わっての開幕投手のようだが、ここで藤浪を起用せざるを得ないところに、看板投手が見当たらない阪神のもろさを感じてしまう。また矢野監督が下した決断も、藤浪が開幕からいいスタートを切ってくれれば、ひょっとして大化けするのではという期待が相変わらず大きいということだろう。

開幕カードで対戦するヤクルトは、村上、青木ら左打者はいても、基本的には“右打線”。藤浪の適度な荒れ球は武器になるが、本番では打者は向かってくる。

やはり回を追うごとに球質など投球内容は落ちてくる。右打者に対してボールが抜け出したときに対応ができるかどうか。平常心で投げることができるかにかかっている。

オリックス山本もばらつきがありすぎて、仕上がり具合は8割までもきていない様子だった。ここから修正しながら開幕を迎えてほしい。(日刊スポーツ評論家)