ZOZOマリン以外で、ロッテ佐々木朗はどんなピッチングをするのか注目していた。本拠地特有の強風を味方にしてきたスタイルで、ドーム球場でもどこまでの内容を見せるのか。

昨年のデータを参考にすると、ZOZOマリンでの防御率1・20、対してドーム球場では2・31。いずれも高いレベルだが、佐々木朗ほどになると、この防御率1・11差は大きい。逆に言えば、オリックス打線がいかにして先手を取るか、そこが見どころだった。

初回、宗に真っすぐを右中間に二塁打、森にはフォークを右越え二塁打。また、4回にはゴンザレスの打ち損じが不運なヒット。さらに茶野の打球が佐々木朗の足に当たり、4回まで7安打で3失点。表面的な数字では打たれた印象だった。

確かに、フォークは本拠地で見るよりも、いまひとつに見えた。4回には頓宮にそのフォークで死球。制球面でも精彩を欠いた。ただ、本拠地の風がなくても、佐々木朗の実力は揺るがないと感じた。そもそも投げているボールは悪くなかった。

味方打線が5回に追いつくと、その裏のピッチングは、不安定だったフォークに変えてスライダーの比率を上げ、相手に的を絞らせなかった。序盤、ベンチ前で佐藤都と話し込んでいた。バッテリー間で冷静に対応していたのだろう。

165キロを何球も計測したことでも分かるように、今の佐々木朗の真っすぐはかなりのレベルにある。本拠地の強風によってさらに威力は倍増し、フォークの切れ味も打者を苦しめてきた。それが功を奏して三振の記録が出やすい球場でもある。

そのアドバンテージがない条件でも、この日のようなピッチングを見せたところに、その充実ぶりがうかがえる。3回には精彩を欠いていたフォークでも、持ち味の高めのフォークで森を内野ゴロに仕留めた。

高めフォークは通常はホームランボールと言われる危険な球種。それが、佐々木朗は高め真っすぐに力があり、打者は高めに手を出したくない。それがその高めから落ちてくるから打者はてこずる。漫画のドカベンでは里中がスカイフォークとして、高めフォークを決め球にしていた。まさに異次元のボールだ。

強風はなくとも、難攻不落なレベルにあると、この試合ではっきりした。(日刊スポーツ評論家)