阪神の優勝が決まり、バンテリンドームの中日-巨人戦では先発マウンドに中6日の戸郷が立った。私はこの日の戸郷の姿勢こそ、今のプロ野球投手がお手本にすべきだと痛感した。
戸郷は前回8日は東京ドームでの中日戦で延長10回、140球(試合は引き分け)を投げている。それでもきっちり中6日でローテーションを守り、中日打線を8回3安打無失点と万全の内容で封じた。
戸郷のこうしたパフォーマンスは、誰しもができることではないが、誰しもが目指すべき姿だろう。戸郷だからできるんだ、というエクスキューズは排除して、12球団の先発ピッチャーみんなが目指してほしい。
例えばDeNAのバウアーも中4日、もしくは中5日で120球前後を投げ、それでしっかりローテーションを守ってきた。現在は故障で戦列を離れているが、それもローテーションを守りながら、かつ阪神戦でスライディングキャッチした際に痛めたもので、決して調整不足ではなかった。
今は100球をめどに降板するケースが普通になりつつある。しかし昨年、巨人に桑田投手チーフコーチが誕生して、先発完投135球という目標を掲げてきた。思うに、戸郷はそこから、しっかりトレーニングを重ね、キャンプでの投げ込みも含めて、見事にそれを体現するまでに成長してきた。
阪神の優勝でペナントは節目を迎えたが、ここからCS争いが本格化する。4位巨人は負けられない試合が続く中、ここまでしっかりローテーションを守ってきた戸郷がこうして高い意識でマウンドを守っている。
目標を持ち、しっかり準備すればできるということだ。この日を含め、今季22回目の登板で154イニングを務めている。これ以上のお手本はないだろう。
先日、プロ野球選手会が求めるFA権取得に必要な登録日数に絡む「投げ抹消投手の救済案」が話題になった。だが戸郷の高い意識を見ると、投手の本分とは何かと、問い掛けたくなる。確かに「投げ抹消…」も、待遇改善という観点では必要なことではある。
しかし、まずは中6日空けるなら120球以上、7回以上マウンドを守り、その間隔でローテーションを守ることが、投手の本分ではないか。そこまでのパフォーマンスが無理ならば、せめて100球なら中4日、中5日でローテーションを守ろうとする姿勢が求められる。
4位チーム巨人はCS出場は何としてでも勝ち取りたい。その先頭に立って力投する戸郷の姿に、私はプロのピッチャーが目指すべき姿を見た。(日刊スポーツ評論家)




