CS争いを考えた時、ロッテは十分にAクラスに入るポジションにあるが、この日の試合を見る限りでは、より一層気を引き締める必要性を強く感じた。

9月の1試合の平均得点は2・8点、同失点は3・3点。失点が得点を上回る。データが物語るように、ここから爆発的な得点力アップは現実的ではない。

ならば、失点を少なくすることだ。そこから粘り強く接戦をものにする戦い方が求められる。それがロッテの現状であり、グラウンドの選手がそこをよく理解しているのか。そこが問われる試合だった。

初回、無死一、二塁で、柳田は右前打。二塁走者の周東は楽々ホームにかえるが、右翼荻野からのバックホームを一塁山口はそのままスルーした。この間に柳田は二塁に到達。同点に追い付かれさらに無死二、三塁とピンチは広がった。

山口に足りないと思われる部分が気になった。周囲が見えているか? 事前に状況を想定する準備はしていたか? これは技術とは無縁のこと。すぐに修正できる部分だ。

柳田の打球が一、二塁間を抜けた時、周東のスタートを見ながら、右翼からの送球を視野に入れつつ、柳田の走塁を狙っていれば、二塁で刺せたかもしれない。

無死二、三塁で打席に入った近藤は、犠飛でも勝ち越しという楽な気持ちだっただろう。そして打球はそのままスタンドイン。試合を決める初回4失点となった。

シーズン前半、ロッテは相手のミスを突き、自分たちは極力ミスをしない野球でしぶとく勝ってきた。そうしたスタンスが、この最終局面でおろそかになっている。

5回無死一塁。川瀬の左中間寄りの一打で、中堅→遊撃の中継態勢に入り、間に合う可能性が低かった周東の三進にこだわり、川瀬の二塁進塁を許した(記録は二塁打)。種市が踏ん張り、致命的な失点は防いだが、1試合で2度も同じような記録に残らないミスが出るのは、要注意だ。

失策は70個を超え、防御率でもリーグ下位をさまよう。まずできるところから確実に実行することが大切。1点でも失点を減らすこと。事前に想定しておくこと、周囲をよく見ること。

当たり前のことだが、最終局面だからこそ、見失う時もある。再度、徹底してほしい。(日刊スポーツ評論家)

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ソフトバンク対ロッテ 福岡ペイペイドームでの最終戦を終えスタンドのファンにあいさつするロッテナイン(撮影・梅根麻紀)
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