日本ハムのキャンプで、ぜひ見たいルーキーがいた。2位の進藤勇也捕手(21=上武大)だ。昨秋のドラフト前に指名候補の捕手を映像でチェックしたが、一番いいと思っていた。

実際にブルペンで受ける姿を見て「座りの良さ」を感じた。捕手にとって大事な要素だ。具体的には、上体を丸めるのがうまい。次の動きがスムーズになるし、投手からはミットが大きく見える。よく「捕手は的を大きく」と言われる。的とは捕手の体ではなくミットのこと。進藤のように猫背ぎみに体を小さくすることで、反対にミットは大きく見える。シルエット的に硬さがない構えで、第一印象は良かった。

一方で、気になる点もあった。サインを出した後、両足のかかとを地面につけていた。走者がいる場合、走られたり、投球がワンバウンドしたりしたとき、かかとをつけていると動きが遅れる。ブルペンから試合を想定して、かかとを浮かす習慣をつけたい。大学までと違い、プロは年中、試合が続く。常にかかとを上げるのは体力的にもきつい。徐々にスタミナをつけていくしかない。

その点、1球1球、立ち上がって投手にボールを返していたのは評価できる。スクワットを繰り返すようなもので、トレーニングになる。小さな積み重ねは必ず生きる。

もう1つ、気になったのは三塁の位置で受けたノックだ。進藤だけではない。4人の捕手全員が捕った後に2歩、3歩とステップを踏んで一塁へ投げていた。捕手は、試合では1ステップで投げないといけない。ノックも試合を意識して取り組んだ方がいい。違う意図があれば別だが、私には単なる体ならしに映った。

リードは実戦を見ないと評価できない。ただ、進藤は肩もいいし、捕球後にミットを変に動かすしぐさもなかった。伏見、清水、田宮などライバルは多いが、正捕手に抜け出す可能性を持った素材だと思う。そのために、やることはいっぱいある。キャンプから投手陣とコミュニケーションを深め、自分のプレーにあったミットも追求すること。いずれにせよ、将来が楽しみな捕手が加わった。(日刊スポーツ評論家)