阪神の戦いぶりから大目標に向けて強さを増していくチームの特徴が垣間見えました。それは中日高橋宏から先制点を奪った2回の攻撃にありました。

1死から佐藤輝明がスプリットを完璧にとらえ、右翼フェンスを直撃する二塁打で出塁。続く前川右京は153キロの直球を振り抜き、中前にはじき返し、佐藤輝が生還しました。バンテリンドームはロースコアの試合が多く、先制点の重みが他球場以上に大きいだけに、この1点は価値があります。

それ以上の価値と可能性を感じたのはこの2人のスイングの力強さです。まるで球種が分かっているかのように、強く振り抜きました。優勝争いが佳境を迎え、強さを増していくチームの特徴として「選手の体が勝手に動く」があります。それを2人はこの打席で体現していました。

高橋宏は夏場の絶好調時から比べれば、さすがに状態は落ちています。それでも防御率1位を狙おうかという投手。ストレートは常時150キロを超え、スプリットとカットボールには切れ味があり、攻略は容易ではありません。

しかし、この2人の力強いスイングが好投手をジワジワと苦境に追い込みました。必要以上に配球、制球に神経を使うため、消耗も進みます。4回の追加点も佐藤輝がカットボールを振り抜き、バットを折られながらも右前に落とした安打がきっかけでした。こんなスイングを序盤からされると、投手というのは実に投げにくいものなのです。

もともと目標のあるチームがこの時期になれば強くなるのは当然ですが、強さを加速させることが結果につながります。逆転優勝、連覇という大目標を結実させるには、さらに勢いを加速させて巨人との決戦に臨みたいところです。(日刊スポーツ評論家)

中日対阪神 2回表阪神1死二塁、中前適時打を放つ前川(撮影・森本幸一)
中日対阪神 2回表阪神1死二塁、中前適時打を放つ前川(撮影・森本幸一)