ノーヒットノーランピッチングをしていた北山にとって、悔いが残る1球だっただろう。9回1死、大城卓を迎えた。フォークを続けて追い込んだ後、真っすぐがボールでフォークをファウル。そして続けたフォークが甘く入ってライトへソロホームラン。ノーヒットピッチングどころか、完封勝ちも逃した瞬間だった。

フォークならもう少し低めに投げられていれば空振りが取れただろう。真っすぐを高めに投げられていれば、打たれることはなかったと思う。

予感がしたのは、2回1死からの増田陸の打席だった。初球は150キロの真っすぐを空振り、2球目と3球目の高めの真っすぐもファウル。ここでフォークを挟んだ後、外角154キロの真っすぐを当てにいくようなバッティングでセカンドゴロ。巨人打線の中で、いいスイングをしていると思ったのは、泉口、吉川、増田陸だった。その3人が真っすぐに押されていたし、打てそうもない感じがした。まだ早いイニングではあったが、ノーヒットノーランをやりそうだと思っていた。

日本ハムベンチも、試合中盤あたりから感じていたと思う。6回裏2死、途中からマスクをかぶっていた大城卓がセンター後方へのフライを打った。それほど大きな当たりではなかったが、センターの五十幡が前進守備で背走しながらキャッチ。4点差があり、この場面で外野がこれほど前で守るのは、ベンチから指示が出ていなければできない。外野の頭を越されるヒットなら仕方ないと割り切り、不運なポテンヒットで記録が途絶えることがないように指示を出していたのだろう。

北山の状態がいいとはいえ、裏を返すと今の巨人打線には“打てる気配”がしない。インパクトの瞬間には後ろの腕が前の腕よりも上の位置になって、バットのヘッドが返るのが早い。これでは今試合の北山のような「強い球」を投げる投手には力負けをしてしまう。ゴロのアウトが27個中7個しかない。本格派投手の特徴ではあるが、球威に負けてこすったようなフライアウトになっていた。巨人からすると相手が悪かったともいえるが、手首を返してこねるようなスイングをチーム単位で修正しないと、貧打は続くだろう。

ノーヒットノーランといえば、ヤクルトでコーチをやっていた時代に巨人の菅野にクライマックスシリーズでやられ、現役時代には自軍のブロス、石井一、ガトームソンで達成。そして小学校のときに私が投手として達成しただけ(笑い)。評論と解説をしている試合では、ここまで目の前で見たことはなかっただけに、とても残念だった。(日刊スポーツ評論家)