シーズン序盤はケガ人が続出したソフトバンクだが、得意の交流戦で9度目の優勝を決めた。今年はパ・リーグのチームがセ・リーグに大きく勝ち越したため、リーグ戦の順位は大きな変化はなかったが、交流戦明けのチームに“勢い”をもたらせる優勝になっただろう。
これだけ主力選手が戦列を離れれば、苦しい戦いになるのは仕方がない。しかし、そうした中でもチームを支えた選手として、ベテランの中村、若手の柳町、そして交流戦から復帰してきた周東を挙げたい。
まずは中村だが、ここ数年は代打での起用がメインで、スタメンでも右投手のときに限られていた。私にも経験があるが、このような起用法が続くと、年齢的にも体力面の低下が加速する。しかもクリーンアップを任されるのだから、相手チームのマークは厳しくなる。そんな中、初回は1死一、二塁で打席が回ってきた。左の伊原に対し、8球粘った。レフトフライだったが、食らいついていく姿勢とギリギリのコースに対してファウルで粘る技術力は見事。8回2死二塁からは、左腕の富田から真っすぐをとらえてダメ押しタイムリーを放った。
1番の周東と3番の柳町は、バッティングが格段に良くなっている。育成から1軍に昇格したばかりの周東をキャンプで見たときは、失礼ながら「おそらく今現在、1軍にいる打者でもっとも非力な選手」と思っていた。もちろん、俊足が持ち味の選手で、打力は二の次のタイプだったが昨年あたりから「走り打ち」から脱却し、ヘッドを落としてバットを縦に使えるような打ち方ができるようになってきた。この手のタイプは「足を生かすため」といって、なかなか取り組もうとしない。もっといい選手になりたいという強い気持ちが成長につながったのだと思う。4打席目はライト前ヒットで出塁し、貴重な追加点となるホームを踏んだ。
柳町にしてもバットが外から入り、ヘッドを返して打つスイングだった。それだけに“もろさ”もあったが、今年はバットが内側から出るようになり、際どいコースの球をファウルで逃げられるようになっている。8回1死二塁、外角の真っすぐを見逃し三振したが、1打席目でヒットをマーク。今はスタメンから外せない選手に成長している。
今年の日本ハムは強い。しかし今試合、先発転向後に思うように勝てなかった松本晴に勝ち星が付いて優勝を決めた。交流戦後にも、強敵日本ハムに対しても巻き返していけるという自信を得たのでないか。白熱した優勝争いを見せてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)




