広島のホープ小園海斗内野手(21)が、飛躍のシーズンを終えた。高卒3年目の今季は、開幕1軍こそ逃すも、4月下旬に1軍に昇格し、遊撃手のレギュラーの座を勝ち取った。主に2、3番と上位打線に名を連ね、113試合に出場し、プロ初の規定打席に到達した。惜しくも打率3割台こそ逃したものの、打率2割9分8厘、5本塁打、35打点とキャリアハイの数字を残した。

活躍の要因の1つに「代打の神様」の存在があった。2年目の昨季は1軍戦わずか3試合の出場にとどまり、無安打に終わった。雪辱を果たすべく、昨年1月には宝塚リトルの先輩であるヤクルト山田に弟子入りし、愛媛・松山で合同自主トレに参加した。山田にはレベルスイングの極意などを伝授された。同じく自主トレで師事した1人が、ヤクルト川端だった。

同じ左打者の川端にボールを投げてもらいながら、打撃の「いろは」を教わった。アドバイスの詳細は“企業秘密”と伏せたが、追い込まれてからの粘り方や、配球の考え方など、状況による対応について学んだという。川端からは「1球1球いいところと悪いところを言ってもらって、バットの使い方とか、追い込まれてからの待ち方とかを聞けた。引き出しが増えましたし、確実性が上がった」と手応えを感じていた。

川端は今季ヤクルトの代打の絶対的切り札として、82打数30安打の代打率3割6分6厘、1本塁打、18打点をマーク。リーグ優勝に大きく貢献した。得点圏打率は4割2分1厘と、圧倒的な勝負強さを誇った。小園は川端について「(打席に)出てきたら全部ヒットみたいな感じだった。自分もああいう風に、チャンスで勝負強い打者になりたい」と刺激を受けていた。

向上心は尽きない。「もったいない打席が多かった。まだまだです」と、秋季練習では「逆方向」への強い打球をテーマに、黙々とバットを振り込んでいる。経験豊富な打者との出会いで得た技術、知識にさらに磨きをかけた背番号51が、4年目にどれだけの数字を残すのか、目が離せない。【広島担当=古財稜明】