成長の跡はバットを振らぬ姿にある。

西武鈴木将平外野手(24)が不振を乗り越え、一皮むけつつある。

オープン戦で結果を残し、開幕から「1番中堅」で起用された。もともと期待は高かった。ただ苦しい春だった。波に乗りきれない。23試合で打率2割2厘。積極的に振っていく姿勢は心意気に満ちていたが、92打席で四球はわずか1だった。5月2日に2軍で再調整となった。

7月に1軍に復帰すると、別人に変わっていた。スイングから強引さは消えた。7月は月間打率4割1分。39打数16安打と打ちまくった。

顕著なのは低めの落ちる球への対応。以前は強く振る意識が強すぎて、低めのボール球を追う姿がよく見られた。だが、今はしっかりバットが止まる。7、8月は15試合、58打席で6四球。決して消極的になったのではない。変えたのは意識。軽く振る。前より強振にこだわらない。その姿勢が打てない球を見極めさせる。思うように打てなかった春、ナイターの試合後もベルーナドームで打ち込む姿があった。一時、新型コロナで離脱した時期もあったが、もがいた時期も糧に、今の自分に合った感覚を見つけた。

調子を持続させること-。それが今の課題になる。体も昨季から一回り大きくなった高卒6年目。また1つ、壁を乗り越えた時、成長は加速していく。才能は開花の時を迎える。【西武担当 上田悠太】