鹿児島・鴨池公園の平和リース球場の一塁側スタンドに上ると、三塁側の後方に桜島が見える。素晴らしい眺めだ。頂上から煙のような雲のようなものが少し。「あれは噴火しているんですよ。東風は珍しいけど、たまに火山灰がこっちに来る時もあるね」と警備陣のおじさんが笑った。

西武は今季、開幕3カード目にして宮崎、鹿児島の地方遠征が入った。鹿児島は今年、すでに個人的に海岸線ドライブを果たしているし、桜島フェリー名物の天ぷらうどんもササッとすすっているが、プロ野球取材の仕事ではなかなか出向けない場所だ。

松井稼頭央監督(47)も地方遠征が好きだという。岩手県営野球場(今年3月末閉鎖)や秋田の球場の思い出は何度か聞いた。「何年か前まではオープン戦も北九州、下関…みたいな感じでどんどん北上してきたよね。コロナが落ち着いて、ああいう感じのも戻ってくるのかな」。大大大大大賛成、です。

宮崎→鹿児島と進んだ今回の遠征。宮崎での試合後、チームはバスで移動。私はレンタカーで動いた。途中のPAで記事を書きつつの2時間半。「大変だったでしょ?」と慰労してくれる球団スタッフもいた。鹿児島市内の人気とんかつ店のラストオーダーに何とか間に合いたい一心でハンドルを操作した。大移動も地方遠征ならでは、それはそれで楽しい。

帰りの鹿児島空港。スーツ姿の選手たちが家族や友人に土産を買っている。喫茶コーナーから出てきて、何かを満喫したのかニヤリとした選手も。帰京便には西武ファンも大勢。私の隣もファン歴10年以上の青年だった。「普段行けない球場には行きたいですよね。友達と一緒に行ったり、遠征先で友達に会ったり」。球団関係者の横で西武ファンたちが楽しそうに野球談議をしているシーンも。遠足でチームの結束が強まる-。そんな空気を感じた。

西武の地方遠征は、次回は6月下旬の沖縄・那覇。琉球の香りを出しつつ、どんな記事を書こうかな-。そんなことを思いながら、今季は2試合しか行わない大宮公園球場でこの記事を締めようとしていたら、今井達也投手(24)が8回1死までノーヒットノーラン。てんやわんやになった。【西武担当 金子真仁】