ドジャースは今オフ、他球団がうらやむ大補強を行った。二刀流は大谷翔平、投手は山本由伸が目玉なら、野手はテオスカー・ヘルナンデス外野手(31)だ。マリナーズからFAとなり、1年2350万ドル(約35億3000万円)で契約。大谷が自身の年俸の97%を後払いとし、チーム年俸総額に余裕が出たからこそ、獲得に至ったといえる選手だ。

ドジャース大谷翔平(左)と談笑するヘルナンデス
ドジャース大谷翔平(左)と談笑するヘルナンデス

大谷と同様に、何より勝利に飢えている。「チームを良くするためなら、いくらでも投資する球団、それこそが選手が行きたいと思うところ」と球団を選択した理由を説明。総年俸のうち850万ドル(約12億8000万円)は、大谷と同様に30年から10年間の後払いとした。昨年は年俸調停ではメジャー史上最高となる1400万ドル(約21億円)でマ軍と契約していた(今季ブルージェイズのゲレロが更新)。

移籍会見で「僕は勝利に飢えている」と話したのには理由がある。17年途中にアストロズからブルージェイズに移籍したが、ア軍はワールドシリーズで優勝した。22年まで過ごしたブ軍では、20、22年とプレーオフに進出しながら、ワイルドカードシリーズで2連敗であっさり敗退。特に22年の第2戦は、1試合2本塁打4打点と爆発しながら、9-10で7点差逆転負け。個人的な活躍だけでは、チームが勝ち進めない悔しさを、嫌というほど味わった。

プレースタイルは堅実で、攻守に安定感がある。6年連続2桁本塁打で、短縮シーズンだった20年(16本)を除いて、4年連続25本以上の選手はメジャーで12人しかいない。2度シルバースラッガー賞に輝いているが、昨季までの通算OPSは一流といえる・802。左投手キラーとしても知られ、対左の通算OPSは・887だ。強肩を生かした外野守備にも定評があり、20、23年はリーグ補殺王に輝いている(右翼手としては22年も1位)。頼れる右翼手を獲得したからこそ、ド軍は昨年まで主に右翼を守っていたベッツを二塁に回せることになった。

日本人とは縁がある。17年にはアストロズから青木宣親(現ヤクルト)と一緒にブルージェイズへトレードとなった。22年はブ軍で負傷者リストに入ったが、代わりに昇格したのは加藤豪将(現日本ハム)だった。今回は大谷、山本と同時にド軍に入団し、初の頂点を目指す。【斎藤直樹】

テオスカー・ヘルナンデスの23年シーズンスタッツ
テオスカー・ヘルナンデスの23年シーズンスタッツ

◆バレル% 打球の初速が98マイル(約157・7キロ)以上、打球角度26~30度で打球を放った時を基準(速度が上がれば角度も広がる)とした指標で、統計によると打率5割以上、長打率1・500以上になる確率が高い。このバレルで打つ確率を%で表したのがバレル%。

◆スプリントスピード 1秒に何フィート移動したかを表す走力。2つの進塁時などに採用される。タイムはシーズン上位2/3を平均。

テオスカー・ヘルナンデスの年度別メジャー成績
テオスカー・ヘルナンデスの年度別メジャー成績

◆テオスカー・ヘルナンデス 1992年10月15日、ドミニカ共和国生まれ。11年2月、アストロズと契約。16年メジャー昇格。17年途中にブルージェイズにトレード。23年トレードでマリナーズ移籍。ドミニカ共和国代表でWBC出場。20、21年シルバースラッガー賞、21年オールMLBセカンドチーム選出。188センチ、97キロ。右投げ左打ち。今季年俸2350万ドル(約35億3000万円)。家族は妻と3男。ニックネームは「テオ」。