ドジャースは今オフ、山本、グラスノーらに続いてジェームズ・パクストン投手(35)を獲得した。「ビッグメープル」の愛称で知られるベテラン左腕で、マリナーズ時代の18年にノーヒットノーランを達成。故障続きで1度も規定到達はないが、左肘手術から復帰した昨季は速球の球威を取り戻し、今季の活躍を予感させる投球を見せた。

23年5月、エンゼルス戦で力投するレッドソックス時代のパクストン
23年5月、エンゼルス戦で力投するレッドソックス時代のパクストン

カナダ出身のパクストンは09年のドラフトでブルージェイズから1巡目(全体37位)指名を受けたが、代理人スコット・ボラス氏の影響で契約金交渉が難航し、契約せずに終わった。大学でプレーを続けようとしたが、ボラス氏と球団が直接交渉を行ったことが規定違反とみなされ出場できず。訴訟にまで発展するも結局大学を辞め、その後は独立リーグでプレー。そして10年のドラフトでマリナーズから4巡目(全体132位)で指名され入団した。

13年9月にデビューし、17年に自身初の2桁勝利をマーク。同7月には月間最優秀投手賞に輝いた。18年にはマーリンズから復帰したイチローとともにプレー。開幕2戦目の本拠地インディアンス(現ガーディアンズ)戦では、3回先頭の3番ラミレスに初球を捉えられたが、レフトで先発出場した当時43歳のイチローがフェンス際でジャンピングキャッチして本塁打を阻止。パクストンはグラブを掲げてたたえ、試合後に「苦しいピッチングの中で、イチローがすごいプレーを決めてくれた。もう1回切り替えるチャンスを与えてくれた」と感謝した。

同5月8日の敵地ブルージェイズ戦では、自身初のノーヒットノーランを達成。99球を投げ、3四球7奪三振で達成した。マリナーズでは15年8月の岩隈久志以来6度目で、敵地での達成は初。カナダ人投手ではメジャー史上2人目で、同国内で達成したのは初めてだった。「最高だよ。本当に特別なこと。しかもブルージェイズ戦でね」と喜び、会長付特別補佐職に就いていたイチローも「普段は感情がほとんど見えない。やっぱり喜ぶんだ」と目を細めていた。

パクストンの年度別メジャー成績
パクストンの年度別メジャー成績

ヤンキースに移籍した19年は自己最多15勝を記録。21年にマリナーズに復帰したが、初登板で左腕を痛めトミー・ジョン手術を受けた。同年オフにレッドソックスと契約し、22年は全休。昨季は右ハムストリングの張りで出遅れたが、6月には5試合で3勝0敗、防御率1・74を記録して6年ぶりの月間最優秀投手賞を受賞した。

ドジャースとの契約は当初1100万ドル(約16億5000万円)と報じられたが、身体検査後に700万ドル(約10億5000万円)まで減少。だが、本人によれば「すごく調子がいい。身体検査の結果も良かった。準備はできている」と問題はない様子。順調なら初の規定到達も見えそうだ。【山下翔悟】

パクストンの23年シーズンスタッツ
パクストンの23年シーズンスタッツ

◆ジェームズ・パクストン 1988年11月6日、カナダ・ブリティッシュコロンビア州生まれ。ケンタッキー大から09年ドラフト1巡目(全体37位)でブルージェイズに指名されるも契約せず、独立リーグを経て10年ドラフト4巡目(全体132位)でマリナーズ入団。13年9月7日のレイズ戦でデビュー。昨季はレッドソックスで7勝を挙げた。193センチ、96キロ。左投げ左打ち。今季年俸700万ドル(約10億5000万円)。