野球界からアパレル業界へ-。元巨人内野手の辻東倫さん(30)が、昨年4月にアパレルブランド「S.T.J」を立ち上げた。12年ドラフト3位で巨人に入団。プロ生活6年間で通算43試合に出場し、18年シーズン限りで現役を引退した。翌年からジャイアンツアカデミーのコーチに就任したが、23年限りで退団。新たな道で挑戦する思いを語った。
5月30日、辻さんは自身で立ち上げたアパレルブランド「S.T.J」のポップアップストアの店頭に立ち、こだわりが詰まったシャツに身を包みながら、笑顔で接客した。
「大変ですけど、好きなことをやれてるので。知らない世界過ぎて、最初は戸惑いまくってましたし、今でもそうですけど、やりがいを感じています」
憧れの巨人でプレーしたが、プロの世界は厳しく、6年間でユニホームを脱いだ。引退後はアカデミーコーチに就任。子どもたちの指導は楽しかったが、新たな夢への思いが湧いた。
「人生1回きりだと思うので、後悔のないように自分の好きなことをやりたいなと思って。元々、服が好きで、自分で作れたら楽しいなと思ったんです」
23年限りで巨人を退団し、24年4月に会社を立ち上げた。ブランド名は、辻氏が尊敬する「フィアオブゴッド」の創設者でデザイナーのジェリー・ロレンゾ氏の頭文字を入れた「Survive and Thrive like Jerry」を略した「S.T.J」に決めた。
アパレルブランド「MADE IN WORLD」からサポートも受けながら、デザインはもちろん、生地や機能性、着心地などにもこだわった。
「僕も元々体を動かしてたんで、動きやすさにも特化しながら、ゴルフウエアは伸縮性、撥水(はっすい)性などにもこだわって。ガチャガチャするのは好きじゃないので、シンプルに、スポーツとストリート(ファッション)を融合したようなイメージで」
24年11月1日には、東京・代官山で初の展示会を開催した。巨人坂本勇人、ロッテ石川慎吾、元DeNAの宮国椋丞氏ら巨人時代のチームメートが来店し、今年5月のポップアップストアには元巨人監督の高橋由伸氏、ロッテ沢村拓一らが訪れた。
「由伸さんは娘さんの分とかも入れて、何着も買ってくださって。勇人さんは、5月も来てくれたんですよ。みなさん、お忙しい方ばかりなのに本当にありがたいです」
野球界とアパレル業界は全くの異業種だが、野球で培った精神力、チャレンジする心、経験や人脈などは辻氏の武器になる。
「これはダメだったから次はこうしようとか、それでもダメなら、次はこれだとか、何回も挑戦するっていうのは野球と同じなのかなと。野球をやってたからこその縁とか、ジャイアンツに入ったからこそ尊敬する先輩にも出会えた。今、こうやってできてるのは野球があったからです」
プロ野球選手であれば、誰もが経験するセカンドキャリア。子どもの頃から抱いたプロ野球選手になる夢をかなえ、野球界を離れた今、また新たな道にチャレンジし、奮闘を続ける。
「今の夢ですか? いずれは自分のお店を持ちたいですね。まだまだですけど、毎日、お店に立って、来てくれる方をお迎えしたいです」【久保賢吾】
◆辻東倫(つじ・はるとも)1994年(平6)8月11日生まれ、三重県出身。菰野から12年ドラフト3位で巨人入団。18年の引退まで通算43試合出場。引退後は球団アカデミーコーチの傍ら、23年からはベースボール5の日本代表でプレーした。現役時は181センチ、83キロ。右投げ左打ち。





