平成の記録を振り返る5回目は、チーム成績と個人投手成績を取り上げます。平成で最も勝利数の多い球団は巨人、個人では214勝を挙げた山本昌(中日)でした。勝利数、防御率のランキングをつくり、平成NO・1投手も選んでみました。

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巨人は平成時代に2247勝を記録した。勝利数2位の西武とは現在39勝差だが、平成最後の4月30日までに30試合以上予定されている球団はなく、勝利数1位は巨人で決定した。巨人は昭和時代も3675勝の1位で昭和、平成と続けて最多勝利となった。ただし、昭和と違って2位との差が接近しており、勝率1位はまだ決まっていない。4月30日まで巨人が26試合、西武は25試合残している。仮に、西武が残り25試合を昨年と同じ19勝6敗だった場合、巨人が9勝17敗以下ならば、西武が巨人を逆転して勝率1位となる。

昭和と平成の両方で試合をした12球団のうち、5球団が平成で勝率を下げた。阪神は昭和の5割3分8厘から平成は4割8分1厘と最も勝率を下げた球団で、勝率順位も昭和の3位から平成は10位へダウン。阪神同様に、リーグ戦が始まった36年から参加した巨人とオリックスも勝率が5分以上悪くなった。次の元号では「老舗球団」の巻き返しを期待したい。

個人の最多勝利は山本昌(中日)。通算219勝のうち平成時代に214勝を挙げた。昭和時代に200勝以上した投手は20人いたが、平成だけで200勝は山本昌だけだった。昭和より期間が短いことに加え、日米通算では野茂と黒田が200勝したように、日本を代表する投手がメジャーへ挑戦したため、日本球界で150勝以上は昭和の37人から6人、100勝以上も97人から28人に減った。

平成で1000イニング以上投げた105人中、防御率1位はダルビッシュ(日本ハム)の1・99。2位は菅野(巨人)の2・17で、ダルビッシュが平成唯一の防御率1点台だ。統一球導入の影響で「投高打低」となった11、12年に活躍した投手が上位を占めている中で、01年に引退した斎藤雅(巨人)が5位と健闘。2000イニング以上ではトップの2・76をマークし、斎藤雅と杉内(巨人)の2人が勝利数と防御率の両方で10傑入りした。

昭和時代にシーズン20勝以上は277度記録されたが、平成時代はわずか8度。1人で2度は89、90年の斎藤雅だけで、同投手は平成では最多となる5度の最多勝を獲得し、36完封も最多だった。200勝の山本昌、防御率1点台のダルビッシュはいるが、日本球界の平成NO・1投手を選べば斎藤雅になるだろう。【伊藤友一】

平成のNO・1投手、巨人斎藤雅
平成のNO・1投手、巨人斎藤雅
平成の勝利数と防御率10傑
平成の勝利数と防御率10傑