こういうのは、ホント、ええなあ~と思ったものです。11日に甲子園でデビューした阪神のルーキー・高橋遥人はすごかった。左腕から繰り出す力強い真っすぐで強い広島打線でグイグイ押していく。

 おぼこい(大阪の古い言葉で幼いような感じという意味)表情からは想像できない投球スタイルで強い広島打線を抑え込みました。シーズン前から褒めていた金本監督が「だから言うてたやろ?」と満面の笑みを浮かべるのも無理のないところでしょう。

 でも、ここで「ええなあ」と書きたいのはちょっとだけ違う視点です。高橋遥は阪神の新人として<1>初登板<2>初先発<3>初勝利という点で、1959年(昭34)4月14日に同じ勝利を挙げた村山実さん以来、実に59年ぶりの偉業でした。まあ村山さんは国鉄(懐かしい!)打線を完封しているのでさらにレベルは違うわけですが、まあ、それでも大したものです。

 なにしろ「村山実」でっせ。あなた。関西人でなくても、阪神ファンでなくても、いや特にプロ野球を知らない人でも、この名前は知っているのでは? 特にこちらは出身大学(関西大)の偉大な先輩なので、その名前を聞くだけでうれしくなってしまう。

 でも、そこは、止まることを知らない年月の悲しさ。若い人はその名前を知らない場合も出てくる。だからこそ、新しい選手が登場で、昔の名選手の名前が再び世の中に出るのが楽しいのです。

 大リーグで思いっきり売り出し中の大谷翔平が「ベーブ・ルースに並んだ」「超えた」とか言われています。ベーブ・ルースの名前の重さから言って、さすがにいくら何でもそれはないやろう、と思ったりするのですが、それでも大リーグ・ファンにはうれしいことなのかもしれません。

 かつてはイチローもそうでした。活躍すればするほど、記録保持者の名前が世に出てくる。有名なのは04年、イチローが大リーグ年間最多安打の記録を更新したときに、それまでシーズン257安打の大リーグ記録を持っていた人物として日本のファンにも知られるようになったジョージ・シスラーでしょう。

 新人が頑張れば頑張るほどかつてのスターが再び脚光を浴びる。高橋遥には、これからもそんな投手として大きく成長してほしい。そんなことを思っています。

村山実氏(1966年9月3日撮影)
村山実氏(1966年9月3日撮影)