2024年を迎えた。ここ最近、テレビのスポーツ番組、スポーツ新聞でのプロ野球の話題は少ない。これは毎年のこと。サッカー、ラグビー、駅伝…の報道が主で、野球ファンには物足りない日々が続く。

あと1カ月。2月からはスプリング・キャンプだ。ここからプロ野球は新しいシーズンのスタートを切るけど、ディフェンディング・チャンピオンの阪神はどう進んでいくのか。この時期から監督、岡田彰布の「野望」が見えてきた。

日本一になって数週間後、岡田からこんなつぶやきが…。「ウチは日本人選手だけでも十分戦えるチームになったもんな」。これはかねてからの岡田のチーム作りの原点を示すものだ。「外国人選手抜きで優勝するチーム。これを作りたい」。2024年はその野望の第1歩かもしれない。

2024年シーズン、阪神は外国人選手を4人でスタートさせる。野手のノイジー、ミエセスに投手はビーズリーと新戦力としてハビー・ゲラ。1軍登録5人のところを4人で臨む少数精鋭方針。これも岡田の意向が反映したもの。一昨年まで1、2軍合わせて8人ほどの外国人を登録してきたが「そんなにとる必要がある?」として、極端に数を減らした。今年はさらに少なくまとめ、「日本人だけでも戦えるチーム」にする方向性を示したといえる。

昨年の日本シリーズ。ノイジーの活躍が印象的だったが、シーズンを通しては、さほどの貢献度はなかった。ミエセスも普通、解雇されても不思議でない成績だった。この2人が残留となったのは、あくまで「保険」の位置づけ。同様に投手もビーズリーは保険要員であり、ゲラに関しては、まだ力の判断はできない状況となっている。

岡田は現状のチーム構成に関し「それぞれが、まだまだ数字を伸ばせる成長力がある。そこに加えるのが、新しい力」と、外国人選手ではない「新鮮力」発掘に乗り出す。

投手以外の8つのポジション。すでに確定しているであろうポジションは7つ。残る1つはレフトとなる。ノイジー、ミエセスの存在を認めつつ、岡田は新しい力の出現を頭に描いている。それは誰か? 岡田はファンが待ち望む名前をわかっている。

センター近本、ライト森下。そしてレフトに小野寺、前川、井上。さらに育成から支配下登録された野口…。これから伸びていくはずの若手を、岡田はちゅうちょなく起用する。その腹は決まっている。

これがうまく軌道に乗れば、先発メンバーは純国産となる。これまで比較的、外国人選手への依存度が高かった阪神にとっては、画期的なオーダーといえるし、投手陣も先発ローテーション6人は日本人投手。セットアッパー、クローザーも同様で、そこに加えて下村、椎葉のドラフト組が絡んでくれば、ビーズリー、ゲラの出番は必要なくなるかもしれない。

外国人選手はあくまで保険。チームに基本的な考えが生まれた。1986年、広島カープがリーグ優勝した時、まさに国産戦力だけで上り詰めたが、2024年シーズン、阪神はそれに挑む。そのためには若いバッターの躍進だ。黄金期構築へ、若い力よ、出てこい!【内匠宏幸】(敬称略)