<春季教育リーグ:巨人6-6西武>◇13日◇ジャイアンツ球場

田村藤夫氏(62)が巨人と西武の新外国人選手をチェックした。巨人のグレゴリー・ポランコ外野手(30=パイレーツ)はバッティングでの対応力、アダム・ウォーカー外野手(30=米独立リーグ)は守備面の課題と調整段階のバッティングに着目。西武のブライアン・オグレディ外野手(29=パドレス)はスイング軌道に注目した。

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初見の外国人選手は評価が本当に難しい。まだ環境に慣れていないだろうし、コンディションに個人差もある。となると、どうしても欠点ばかりが目につき、ネガティブな解説に偏りがちになる。極力事実に即して分析しようと心掛けての観察となった。

こうした前置きをしておきながら、いきなり後ろ向きな部分を指摘することになるのは心苦しいが、目にしたプレーから率直に振り返りたい。

「3番・左翼」で出場したウォーカーの守備がまず目についた。肩が強いかどうか判断がつかない。なぜなら練習の時からそうなのだが、カットマンまでノーバウンドで送球できない。どうしてもワンバウンドしてしまう。私の見る範囲では送球に難があるという印象は拭えない。試合での打球判断にも疑問符がつく。2死一、二塁で西武の右打者古賀の左中間への打球に対し、ウォーカーは1歩目で右を向いてしまった。すぐに左に向き変えて打球を追ったものの、頭を越されての2点タイムリー二塁打となった。

ウォーカーから見れば、自分の正面よりもちょっと左側への打球だった。これに対して、1歩目で右を向いてしまえば対応は遅れる。打球はヒット性で、1歩目の反応を間違わなくても、捕れたかどうか微妙だが、私の感覚としては左へ1歩目を切っていれば捕れていたと感じた。

バッティングは3打数無安打。第1打席はカウント2-2からカットボールをいい当たりの遊撃への併殺打。第2打席はカウント1-2からインコース寄りのツーシームに少し泳いで中飛。3打席目は、カウント1-0から左投手の外寄りのカーブかチェンジアップに泳いでの三邪飛だった。

内角ストレートには苦しみそうな印象だ。大抵の新外国人選手は内角ストレートを打ちあぐねることが多く、ウォーカーに限ったことではない。

ポランコは「2番指名打者」だったので、バッティングだけ解説すると、ウォーカーよりもボールをしっかり見ていたと感じた。第1打席では低めのフォーク、膝元のスライダーを見極めており、第2打席も外寄りのフォークをしっかり見ていた。第3打席は左投手と対し、カウント1-0から、外角スライダー=見逃し、外角スライダー=空振り、そして外角スライダーを泳がずに左飛。打ち取られてはいるが、しっかり対応している印象だ。

この日のポランコに対しては内角ストレートがなく、そこへの対応を見たかった。ボールの見送り方、打席での構え、素晴らしい体のサイズからすると、シーズンはある程度の期待はできそうな雰囲気は感じた。

最後に西武のオグレディだが、第1打席はカウント2-1から外角高めストレートをセンターオーバーの二塁打。第2打席は、フルカウントから膝元のボール球になるスライダーに空振り三振。第3打席はカウント1-2から外寄りのストレートを中前打という結果だった。

一般的に外国人バッターが得意とする外寄りの甘い球は打つな、という感じだ。長打力はありそうだ。ただ、低めのボール球を振ってしまいそうな心配はある。ややバットの軌道がアッパー気味に見え、振り上げるような感じがする。こうなると、内角高めのストレート、落ちるボールへの対応に苦しむのかなと感じた。

いずれも助っ人としてチームの得点源を期待されるバッターだ。巨人、西武が球団として分析して獲得しており、最初の実戦でシーズンを占うのは早計だというのは理解している。あくまでも、この試合での印象であり、ここからどれだけコンディションを上げ、日本の野球にアジャストしていくかが非常に大切だ。

これも言い尽くされたことだが、日本のバッテリーの攻め方、日本の投手の球筋など、まったく知らない中で打席に入っていることを差し引いて評価すべきだと感じる。今後はオープン戦を経て、公式戦での結果だけを求められる立場だ。この日の打席は、公式戦で最高のスタート切るための試行錯誤であり、そこだけを切り取って実力として評価はできない。巨人ファン、西武ファンにとって、開幕まで2週間を切った中、1つの参考になればとの思いで解説した。(日刊スポーツ評論家)

春季教育リーグ 巨人西武戦 1回無死一塁、来日後初打席で四球を選んだ巨人グレゴリー・ポランコ外野手
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春季教育リーグ 巨人西武戦 実戦デビューを果たした巨人グレゴリー・ポランコ外野手(左)とアダム・ウォーカー外野手はベンチで戦況を見守る
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春季教育リーグ 巨人西武戦 1回無死一塁、来日後初打席で中越えに適時二塁打を放った西武ブライアン・オグレディ外野手
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