来秋ドラフト候補の横浜(神奈川)万波中正外野手(2年)が変わった。

 ドラフトが終わって約2カ月たった。取材は来年の候補に向けて進んでいる。先日、横浜高校のグラウンドをのぞいた。コンゴ出身の父を持つ、190センチ、93キロの万波の姿は目立つ。しかし、容姿以上に目を引いたのは、ひときわ声を出して引っ張る姿だった。

 万波は「目標がしっかりしました。春の大会で絶対に打てる準備をしないといけないと思っています」と言い切った。「スーパー中学生」と称され、鳴り物入りで横浜高校へ入学した。1年夏には横浜スタジアムの電光掲示板を直撃する推定135メートル弾を放ち、度肝を抜いた。同年夏に甲子園にも出場し順風満帆かと思われた。

 しかし、高校野球はそうはさせてくれなかった。「1年の時に結構打って、プロに行けるかなと思っていましたが、考えが甘かった」。優勝こそしたが、今夏の神奈川大会決勝では5三振。甲子園に出場しリリーフで146キロを計測したが、打撃では首をかしげる場面が続いた。

 今秋の神奈川大会では鎌倉学園にコールド負けを喫し、来春のセンバツ出場は不可能に近い。甲子園出場へ、残すは来夏のみになった。「打てないことを相手のせいにしていたところがありました。全部実力不足だった」。春に結果を出すことが夏へ、そして自分の将来へつながると、やっと気付いた。

 この冬はオフも返上し、トレーニングに励む。「前はオフは遊びたいな…と思っているところがありましたが、自分の人生かかっている。一切休まないぐらいでいきたいと思います。自分の残りの高校野球は、もう少ししかない。春まであと4カ月です」。

 ドラフトでソフトバンクから3位指名された増田珠外野手(3年)の存在も大きい。常に笑顔で取り組み、声を出し続ける先輩を見ていた。「増田さんからは『野球を楽しむこと』を学びました。今、自分も野球がめっちゃ楽しいです」。通算28本塁打を放ち、投げては最速147キロの速球を繰り出す。投打二刀流で奮闘する万波が、来夏の甲子園100回大会の主役を譲らない。【和田美保】