奈良学園大の女性主務・上原美穂主務(4年=上宮太子)は、7日、ベンチで関西地区大学選手権2回戦の関西国際大戦に1点差で敗れた大学最後の試合を迎えた。「ベンチは居心地がよかったです」。涙はなく、やりきった笑顔で、苦楽をともにしてきた4年生部員たちと記念撮影した。

1998年(平10)6月27日生まれ、大阪・藤井寺市出身。04年までは近鉄2軍や高校野球の舞台だった藤井寺球場に祖父がよく連れていってくれた。2歳上の兄が小学生時代に野球をしていたこともあり、野球好きになった上原さんは、上宮太子でマネジャーを務めた。

奈良学園大では1年の春季リーグ後から、いきなり主務を任された。「上の人がチームを辞めてしまって。最初は何も分からない状態だったけど、やってみようと」と、責任あるポジションに積極的に立ち向かった。エースの最速147キロ右腕・大畑理暉投手(4年=履正社)は「1年の時はひとりで仕事をやってくれた。練習の回し方や来客への対応などの仕事をやってくれた」と感謝。酒井真二監督も「(上原さんの)気の強さに、学生らが押されているんですよ。仕事はしっかりやってくれます。気が利くし、見ていてくれたら癒やされる」と、チームに欠かせない存在であったと話した。

上原さんは「声が通りづらいことや、言い方を考えながらやってきたけど、私の話を聞いてくれました」と、試行錯誤しながら、チームを支えてきた。2年春には優勝し全国大会も経験。この秋はそれ以来の優勝となった。「最後にリーグ優勝できてよかった。みんなに支えられて、いいチームに恵まれました」と喜んだ。最後の秋は就職活動のため、一時チームを離れていたが、最後の大会となる関西地区大学野球では再び主務登録となりベンチ入りした。

卒業後はアナウンサーやリポーターなどの職業を希望している。「スポーツを見たらこみ上げてくる熱いものがあって、元気もらったりするので、スポーツのすばらしさを伝えたい。熱い思いを伝える仕事に就きたい」。1年生からチームを任された経験がきっと生かされるはずだ。【石橋隆雄】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

11月6日、戦況を見守る奈良学園大・上原美穂主務(左)
11月6日、戦況を見守る奈良学園大・上原美穂主務(左)
11月6日、スコアブックをつけながら戦況を見守る奈良学園大・上原美穂主務(右)
11月6日、スコアブックをつけながら戦況を見守る奈良学園大・上原美穂主務(右)