春の近畿を制するものは、夏の全国を制す-。今夏の第106回全国高校野球選手権(甲子園)で悲願の初優勝を飾った京都国際にとって、春の近畿大会が1つのキーポイントとなった。

今春の京都府大会で辛勝を重ねて優勝を飾り、春の近畿大会に出場。1回戦では明石商(兵庫)に8-1で快勝。準決勝では天理(奈良)を5-1で下し、決勝では智弁和歌山に3-2で競り勝ち、春秋通じて初めて近畿の頂点に立った。

センバツの1回戦では青森山田にサヨナラ負け。そこから鍛錬を積み、迎えた絶好の腕試しの機会でもあった。小牧憲継監督(41)は「センバツ負けてから目の色変えてよう頑張ったんですけど、どれくらいできるのかということで春に臨んで、勝ち切れたのは収穫でした」とうなずいた。

ただ、相手の2つの暴投によって勝利したゲームだっただけに、指揮官は「この子らも納得してなくて。やっぱり打って勝てるようにならないと。うぬぼれることなく、おごることなく、『もっとレベルアップせな』って、子どもたちがより理解しましたね」と振り返った。

春の近畿大会で頭角を現したのが、2年生左腕の西村一毅(いっき)投手だ。天理戦で完投したエース左腕の中崎琉生(るい)投手(3年)に負けじと、1回戦、決勝と2試合連続で完投した。大きな自信をつけ、左腕2枚看板が確立した大会にもなった。

小牧監督は「そこで西村が全国クラスのピッチャーにもある程度勝負できるめどが立った。そしてあれくらいからやる気スイッチが入りましたね」。筋骨隆々の智弁和歌山ナインの体の大きさを目の当たりにし、トレーニングにより一層力を入れるようになった。

関西圏のとある強豪校は、夏の地方大会、甲子園にピークを持って行く目的で、春はチームの底上げも含めて戦力を落としつつ近畿大会の出場は本気では狙わず、同期間で練習試合を組むなどして調整期間に充てていた。ただ、小牧監督の中で関大の先輩でもある大阪桐蔭・西谷浩一監督(55)の数年前に聞いた言葉が脳裏に焼き付いていた。

「近畿大会で優勝できるかどうかが全国制覇できるかどうか1つのポイントやから、そこは真剣にやる」

大阪桐蔭は実際に夏の甲子園を制した5回中3回で春の近畿大会で優勝していた。また、優勝校は新型コロナウイルスの影響で中止となった20年大会を除き、8大会連続で夏の甲子園出場切符をつかんでいる。

小牧監督は「いざゲームとなれば負けようと思っても負けるもんでもない。最後は(勝利への)本能的な部分も出る」と説明。夏に直結する重要な大会と位置づけ、結果的に個々、チームのレベルアップにつながり全国制覇を成し遂げた。

来春はどこの高校が近畿大会を制するのか、新たな視点で注目したい。【古財稜明】


【過去20年の春季近畿大会優勝校の夏の結果】

▽24年 京都国際→全国優勝

▽23年 智弁学園→全国3回戦敗退

▽22年 智弁和歌山→全国1回戦敗退

▽21年 大阪桐蔭→全国2回戦敗退

▽20年 新型コロナウイルスの影響で中止

▽19年 近江→全国2回戦敗退

▽18年 大阪桐蔭→全国優勝

▽17年 大阪桐蔭→全国3回戦敗退

▽16年 履正社→全国3回戦敗退

▽15年 神戸国際大付→兵庫大会敗退

▽14年 大阪桐蔭→全国優勝

▽13年 履正社→大阪大会敗退

▽12年 大阪桐蔭→全国優勝

▽11年 天理→奈良大会敗退

▽10年 報徳学園→全国準決勝敗退

▽09年 インフルエンザの影響で中止

▽08年 福知山成美→全国2回戦敗退

▽07年 智弁学園→全国3回戦敗退

▽06年 智弁和歌山→全国準決勝敗退

▽05年 社→兵庫大会敗退