阪神対中日 4回表中日無死満塁、岩貞は京田に右越え満塁本塁打を浴びる(撮影・上山淳一)
阪神対中日 4回表中日無死満塁、岩貞は京田に右越え満塁本塁打を浴びる(撮影・上山淳一)

「負けたときにこの世の終わりみたいに書くのは勘弁してほしいな、と思うんですよ」。阪神の球団関係者と雑談したとき、こんな話をするのを聞いて思わず笑ってしまった。思い当たる節がある。

だけど、そう言うわりには首脳陣も選手も敗戦の後は沈黙の行列となりがちなのも阪神の特徴ではないか。他球団は敗戦後も“あっけらかん”というときもある。それだけ人気球団は厳しいということなのかもしれないが。

開幕前に大阪市内のホテルで行われた「阪神タイガース激励会」で指揮官・矢野燿大が印象的なあいさつをしていた。当時の記事を見ると、大体、こんな感じだった。

「優勝するチームは80勝すると思います。逆にいうと60敗できるわけです。どうかいい60敗をしながら、みんなの中から気持ちがあふれるような走り方、ボールを追いかけるような姿を見せていきながら最後にはファンと一緒に喜び合えるように力を合わせてやっていきましょう」

矢野らしい前向きな言葉でいいなと思った。甲子園で勝てない今こそ、この言葉を思い出したい。だけど聞いたときに1つだけ、ちょっと違うのではと思ったことがある。

「いい60敗」なんて、あるかなということだ。1試合で満塁弾を2発食らうのは球団史上初だとか。考えようによっては史上最悪級の惨敗だ。でも接戦を落としても負けは負け。この惨敗と同じだ。

おそらく矢野の言いたかったのはファン視線だろう。やはり少しでもいいところを見せてほしい。そんな心理に応じて我々が使う用語で「ガス抜き」というものがある。敗戦の中、虎党にたまった不満を少し晴らすような攻撃のこと。あえて言えばこの日の近本光司の2号ソロのようなものだ。勝敗には関係ないがファンは喜ぶ。そういうものだ。

連敗中は、この「ガス抜き攻撃」が目立つ。もっと早く出れば変わってくるのに。厳しいかもしれないけれど打撃コーチの浜中治に聞いた。

「そうですね。先制されても早い回に追いつけば、また違ってくる。この試合も序盤にパンパーンといけばね。投手にばかり負担をかけてしまっているので…」

こんな話だった。「ガス抜き」も場合によっては必要なのだが、それができるなら最初からガンガンいこうぜ、と思って仕方がない。

そしてもう1つハッキリしているのは3連敗はよくないということだ。特にカード3連敗、スイープを食らうのは数字的に不利になる。14日、先発西勇輝の好投と打線の序盤攻撃を願いたい。(敬称略)

阪神対中日 6回裏阪神無死、右越えにソロ本塁打を放つ近本光司(撮影・上田博志)
阪神対中日 6回裏阪神無死、右越えにソロ本塁打を放つ近本光司(撮影・上田博志)