主軸のサンズが守備で貢献した。1点リードの7回だ。先頭の森敬斗が二塁内野安打をマークし、無死一塁。ここで佐野恵太が引っ張った打球は一ゴロになった。捕球したサンズは封殺を狙い、二塁カバーの中野拓夢に送球しようとした。

しかし一塁走者の森は俊足だ。「間に合わない」。そう判断したサンズは送球を途中で止め、くるりと回転。一塁カバーの山本泰寛に投げず、自分で佐野にタッチしてアウトを取った。

こう書けば特に難しくないプレーにも思える。しかし1度始動した動きを止めて、違う行動を起こすのはどんなスポーツでも簡単ではない。判断力と集中力、そして筋力が必要だ。

しかもサンズは後半戦こそ4試合連続で一塁スタメンだが前半は左翼手で、一塁は6月10日日本ハム戦、同11日楽天戦だけ。決して慣れたポジションとは言えないところでこの動きは見事といえる。

あそこで間に合わないにもかかわらず二塁に送球し、佐野も生かしていれば無死一、二塁。オースティン、宮崎敏郎と続く打線を考えれば危険な場面だった。その意味で2番手アルカンタラにとってもチームにとっても大きなプレーだ。

「若手とたくさん走った僕と糸井選手は後半戦、生きると思う」。これは2本塁打した14日広島戦の試合後にサンズが残したコメントだ。外国人野手では唯一、ブレーク期間に帰国しなかった。真夏の甲子園練習やエキシビションマッチに出場したタフネスぶりが生きたという見方もできる。

バットでも快音こそなかったが2四球を選んだ。マルテにも言えることだが1発か三振という助っ人でないところも首位を走るチームの確かな戦力になっている。

正直、理想的な試合ではなかった。アルカンタラから岩崎優、そして復帰のスアレスと組む後半戦バージョン「勝利の方程式」が初成功した試合。だが、そんな展開にしなくてもよかったような気はする。

DeNA先発の浜口遥大は立ち上がりから制球に苦しみ、2回まで実に5四球。勝負に「たられば」はないけれど1回、ロハスに適時打が出ていたり、2回、青柳晃洋が犠打を決めていたりすれば早々と決着がついていたのではないか。そういう意味でも、接戦の展開でピンチを未然に防ぐ守りをこなしたサンズは大きかったと思うのだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)