ホンマに優勝するんちゃうか。阪神。そんな気がしてきた。今季91試合目の中日戦はここまででも悪い方から数えて指折りの試合だったかもしれない。

4連敗中の西勇輝が2回にいきなり5失点。打線も中日の好投手・柳裕也に9回147球を投げられ、無得点だ。正捕手・梅野隆太郎を早々にベンチに下げ、苦手のバンテリンドームでほとんど見どころのない展開となった。

とても首位を走るチームの戦いとは思えない。そう感じ、陥落も覚悟した。ところが2位巨人が最下位DeNAに逆転負け。阪神の首位は動かなかった。ここが長いペナントレースの面白いところだ。

20日からのプロ野球は6カードすべてが「Aクラス対Bクラス」の対戦になっている。セ・リーグは阪神が4位中日、2位巨人はDeNA、3位ヤクルトが5位広島との顔合わせだ。

そしてこの日、Aクラスの阪神、巨人、ヤクルトがそろって負けた。もちろんそれに応じてA、Bクラス間のゲーム差は縮まるのだが4位以下は大きく離れているのでほとんど影響はない。この日に限って言えば首位・阪神にとって幸運な状況になった。

それで阪神に優勝の可能性を感じる…というのは別に皮肉でも嫌みでもない。他球団の状況、結果、戦いは勝ち抜くためにとても重要な要素だからだ。

以前にも書いたが闘将・星野仙一は03年に優勝できた要因として「ゴジラ不在」を挙げた。松井秀喜が02年オフに大リーグへ移籍し、巨人の戦力がダウンしたことを阪神優勝の理由の1つとしていた。その話を聞いたとき「闘将のイメージと違うな」と思ったけれど同時にプロとはそういうものかと実感したことを覚えている。

もちろん楽観はできない。深刻なのは西勇輝だ。結果が出ないのでそう思うのかもしれないが、投げる姿から闘志のようなものが感じられなかった。それがバックにも“伝染”する感じでチームが締まらない。そこまで責任を負わせるのは酷かもしれないが「エース」とはそういうものだろう。早くピシッとした姿を見せなくてはいけない。

きょう21日は7月4日広島戦以来、約1カ月半ぶりのデーゲームだ。今季のデーゲームは19勝7敗1分け勝率7割3分1厘を誇る。そんなデータも味方にして運を逃がさないよう、しっかり戦ってほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)