乱打戦の疲れが出たのか? 連勝中は5点、6点、そして9点と取ってきた打線は3点止まり。それでもエース青柳晃洋の好投でしっかり連勝を決めた。

前日にNHKの解説をしていた梨田昌孝(日刊スポーツ評論家)は「満塁エンドラン」が出た際に「さすがビックリボスですね」と得意のだじゃれをぶちかましたそう。阪神の安定した試合ぶりもなかなかのビックリと言えば失礼だが6月負けなしの4連勝。やはりビッグボスによるビックリボス効果か-。

なんと言っても流れがいい。この試合「まずいかな」と思ったシーンは1点リードの5回だった。1死一塁から青柳が犠打を決められずに三振。2死一塁となった。これで得点できないと流れが相手に行ってしまう…と不安が頭をよぎったが1番・島田海吏から中野拓夢、近本光司と俊足トリオにこの試合唯一の3連打が出て2点を追加。犠打失敗をものともせずに勝ちムードが広がった。

これで阪神は58試合を終え、24勝33敗1分け。借金は1桁の「9」となった。これは4月8日、唯一の引き分け試合となった広島4回戦以来のこと。阪神は開幕9連敗でスタートしているので借金9ということは、9連敗の後の49試合を勝率5割で戦ったということになる。当たり前だが。

まだ借金に苦しんでいる状況に変わりはないのだが、その当時と比べると安定してきた“兆し”は見える。4月8日終了時点でのチーム防御率は4・82、同打率は2割3分4厘だった。そしてこの試合を終え、チーム打率は2割3分1厘とほとんど変化していないものの防御率は2・78と格段に伸びている。

投手が頑張っている間に打線が調子を上げてくれば-。どこのチームでもそう思うだろうが、昨年、77勝したチームだけに可能性はあるし、そうなれば面白くなってくるかもという期待は広がる。来週はソフトバンク、オリックスと阪神が交流戦で苦しむ相手との勝負だけに、ここは敵将・新庄剛志には申し訳ないが3連勝といきたいところだ。

もちろん少し勝ったぐらいで浮かれている場合ではないのは事実。「油断しないように頑張りたいです」。この試合のヒーローインタビューで大山悠輔が言った言葉だ。まったくその通りだし、油断も何も、まだまだこれからということを肝に銘じ、戦ってほしい。まずは次の勝利だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対日本ハム 5回裏阪神2死二、三塁、近本は右前適時打を放つ(撮影・前岡正明)
阪神対日本ハム 5回裏阪神2死二、三塁、近本は右前適時打を放つ(撮影・前岡正明)