いや、困ったね。これは。何と言えばいいのか。前日1日の中日戦に快勝し「長期ロード好発進」という感じだったのに。すぐ次の日にこの負けっぷり。毎日、毎試合、勝てるはずはないけれど、なかなか意気消沈するゲームではあった。

先発は秋山拓巳。体調不良となった大竹耕太郎の“代役”だったが5回途中3失点はまずまずだろう。それだけに勝てなかったのは打線に尽きる。近本光司の1発が出たので0封負けこそ免れたものの4安打ではなかなか勝てない。

打線が振るわないと思われがちの今季だが、ここに来て打線はつながっていた。2桁、あるいはひと桁台後半といい感じで打っていたのである。それが4安打だけ。前回、安打数がひと桁台前半に終わったのは7月16日の中日戦(甲子園)。くしくもこの日と同じメヒアが先発した試合だ。

その試合でメヒアは6回無失点。この日は何やらアクシデントがあった模様で3回1失点で降板したが、そのまま投げ続けていたらどうなったか…と思わないでもない。下位球団に苦手をつくるのは避けたいし、次回、対戦があれば打たなければダメだろう。

何より、この日、よくないと思ったのは阪神打線が四球を選べなかった点である。このコラムでもよく取り上げているが、今季の阪神、注目されるのは四球の多さだ。

今季ここまで阪神打線が選んだ四球は「326」。これは12球団でトップの数字だ。これもすでに知られる話になったが指揮官・岡田彰布の体制になって年俸を決める査定で「四球」の項目が「安打」並みになった。チームとして四球を重視しているということだ。

4安打に終わったこの試合、阪神の四球は「0」だった。今季ここまで阪神打線が四球を1つも選べなかったのは、この日を含めて9試合。戦績は2勝7敗の「借金5」だ。「貯金14」で首位を走るチームの勝率からすれば、やはり低い。

「打てんときはこんなもんやろ」。この日は冷静に話した岡田だが、以前には「打てんかったら四球ぐらい選べっちゅうんよな…」とボヤいたこともあった。

中日投手陣のめまぐるしい継投策の前に落ち着かない面もあったかもしれない。それでも短期決戦ならこの手を使われる場合だってあるだろう。敗戦は仕方ないけれど、ここはボールを見極めるという原点に戻って仕切り直してほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

中日対阪神 試合終了、ベンチを引き揚げる岡田監督(中央)(撮影・森本幸一)
中日対阪神 試合終了、ベンチを引き揚げる岡田監督(中央)(撮影・森本幸一)
中日対阪神 5回途中で秋山(左)を交代させた阪神岡田監督(撮影・上田博志)
中日対阪神 5回途中で秋山(左)を交代させた阪神岡田監督(撮影・上田博志)
中日対阪神 5回表中日2死一塁、降板する阪神秋山(撮影・藤尾明華)
中日対阪神 5回表中日2死一塁、降板する阪神秋山(撮影・藤尾明華)
中日対阪神 6回終了、ベンチで安藤投手コーチと言葉を交わす岡田監督(右)(撮影・森本幸一)
中日対阪神 6回終了、ベンチで安藤投手コーチと言葉を交わす岡田監督(右)(撮影・森本幸一)
中日対阪神 8回、交代告げる阪神岡田監督(撮影・藤尾明華)
中日対阪神 8回、交代告げる阪神岡田監督(撮影・藤尾明華)