指揮官・藤川球児は開催中のイベントに引っかけ「『ウル虎の夏』ですね」と切り出した。ラストは右翼・森下翔太のビッグプレー。得点は佐藤輝明の2ランだ。スター2人の活躍に、復活した伊藤将司の好投もあり、虎党にはこたえられないゲームだろう。
だが、きわどい試合だったのも事実。どちらに転んでもおかしくない展開だったと思う。阪神打線はヤクルト・アビラの前に3回から6回まで先頭打者を出しながら無得点が続いた。
伊藤将が3回に犠打を狙ったが決められず、併殺に。5回にはやはり伊藤将がスクイズを狙ったものの三走・小幡竜平が本塁で刺された。「凡事徹底」は球児が好んで使う言葉。バントは簡単なことではないが、伊藤将自身は自分を助ける意味で成功させたかったところだろう。
2点差で迎えた9回には小幡竜平の失策も絡んでクローザー岩崎優が1失点。最後も森下の送球が少しでもそれていればどうなっていたかは分からない。まさに薄氷を踏む勝利だ。勝負は常にそうだが「紙一重」の結果だと思う。
1日空いて、15日からは2カード連続で「ウル虎の夏」。甲子園に中日を迎える3連戦だ。最下位・ヤクルトの次は5位・中日…と思うが、虎党なら先刻承知の通り、今季ここまでもっとも苦労しているのは中日戦である。
4月末のバンテリンドームで3連敗を喫するなどここまで5勝5敗の五分。セ・リーグで阪神が貯金をつくっていないのは中日だけ。その中日、指揮官は元監督・矢野燿大の時代に阪神でヘッドコーチを務めた経験のある井上一樹だ。その井上が前日、いいことを言っていた。広島戦に勝った後、こんなことを話していたのである。
「どこのチームも不安要素はあると思うので。貯金をたっぷり持っているタイガースの藤川監督でも不安要素は持っていると思う」-。
この日、阪神は育成選手だった右腕・早川太貴を登録した。さらにかつて在籍したドリス(四国IL高知)や新外国人ハートウィグ(メッツ3A)の獲得も狙っている。この状況で補強、戦力充実を狙うのは不安があるからで、そのためのリスク・ヘッジなのだ。
「ここから先はさらにハードになっていきますから」と球児。球宴まで2カード、まずは中日戦の貯金を狙う場面だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




