ソフトバンクとのオープン戦2戦目、甲子園に駆けつけたファンは4万486人、マンモス今年初の満員御礼だ。世の中はメディアを含め、WBCで大騒ぎ。地上波放送はどうしたなどの文句も含め、大きな話題になっている。

それもこれも揺るがぬ日本の野球人気があってこそだろう。そして持ち上げるつもりは特にないけれど、その中心にいるのは阪神…と思わせる光景だったかもしれない。そんな甲子園で連勝、この日は1-0のスミイチ勝利だった。

前日も書いたけれど両軍とも、主軸打者を代表に送り込んでいることもあってロースコアの展開になったのかもしれない。それでも、この日は阪神の締まった守備が印象に残った。

前日はディベイニーが慣れない三塁守備についても失策もあったが、この日は大竹耕太郎からの4投手が続けた好投を、しっかり守りで支えたのである。

大きく沸いたのは4回2死から井上朋也の右飛を「5番・右翼」でスタメン出場していた高寺望夢がキャッチした場面だろうか。フェンス際の打球をしっかり追って、最後はジャンプしてラバー部分に体を預ける感じでの捕球だった。

「あれは普通の右飛ですよ。普通。取材を受ける権利はありませんよ」。明るい性格の高寺は「普通」を5回も繰り返して、そう話した。それでも看板選手の1人、森下翔太を擁するチームにおいて、普段はまず守ることのない右翼としてはいい出来だったと思う。

「そのあたりはね。練習していますから。コーチがうるさいから(笑)。高寺のようにユーティリティーの選手たちは特にどこでもしっかりできるようにしています」。外野守備走塁コーチの筒井壮は話した。

前日は育成選手の福島圭音がセンターを超えようかという大飛球を好捕していた。高寺のプレーは「普通」だったのかもしれないが、それでも2試合続けて、締まったところを見た気がする。

「有事に備えないといけないですからね」。筒井はそんなことも言った。優勝候補の阪神だが、それはみんながみんな、期待通りの働きをしてのことだ。昨季は故障者が出なかったのが大きかった面というもあるはず。何が起こるか分からない勝負の中で、数少ない計算できる要素は守備だろう。その部分において、阪神はしっかり仕上げようとしている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)