初の世界一を目指した高校日本代表が、1点差に泣いた。第27回U18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)決勝は、時折強い雨が降る甲子園で行われ、米国に敗れた。先発の仙台育英・佐藤世那投手(3年)が3回に自らの失策をきっかけに2失点。打線は6回に浦和学院・津田翔希内野手(3年)の右前適時打で1点差に迫ったが、あと1点が遠かった。2大会連続の準優勝に終わり、米国は3連覇で8度目の優勝を飾った。次回大会は17年にカナダで開催される。

 また、1点に泣いた。2年前に続く米国との決勝。初めての日本開催とあって地元観衆の後押しもあった。しかし、前回同様に、あと1歩のところで初優勝がこぼれ落ちた。西谷浩一監督(45)は「子どもたちはよく頑張った。その頑張りを勝ちに変えてあげられず、とても残念です」と無念そうな表情を見せた。

 決勝まで負けなしの8連勝。打線は80得点を奪い、投手陣は3失点と攻守にわたり世界を圧倒した。しかし、8試合で2失策の守備にほころびが出た。3回1死二塁。先制のピンチで先発の佐藤が2番モニアクを投ゴロに打ち取った。しかし、三塁へ余裕を持って行ったはずの送球は、ベース手前でバウンドしファウルゾーンへ転がった。「腕が緩んでしまいました」。1点を奪われた後、4番アムダイティスに適時打を浴び、1次リーグで完封した米国に2失点。「今回は上位打線のフォークの見極めがすごかった」とうつむいた。

 急造チームを作る上で、西谷監督が最も気にしていたのが主将選びだった。指名された篠原は朝の散歩から選手に声をかけるなど、期待以上の働きをした。投手陣はドラフト1位候補の小笠原、高橋純の調子が上がらない中で、佐藤、上野がフル回転。補い、助け合いながらの準優勝だった。「世界での経験をこれからの野球人生に生かしてほしい」。2大会連続で指揮を執った西谷監督の表情には、悔しさと誇らしさが同居していた。【和田美保】