「がばい旋風」の再現ばい! 2年ぶりの甲子園出場を目指す佐賀北のエース左腕、犬塚優太(3年)が4安打完封発進だ。直球の最速は120キロほど。だが犬塚には緩急という武器があった。シンカーとスライダーを駆使し、唐津工打線を封じ込んだ。

 もともとは上手投げだった。百崎敏克監督(60)の薦めで、新チーム発足時から横手投げに変更。制球が安定するようになった。同じ左横手投げで07年の全国制覇に貢献した馬場将史をほうふつとさせる85球完投だった。小学生の時、テレビで見た全国優勝の瞬間は今でも覚えており、犬塚は「粘りがあったと思う。自分も甲子園まで行きたい」と声を弾ませた。

 エースの成長の裏に、今春母校に赴任した07年のエース久保貴大副部長(27)の存在もあった。百崎監督が「ここまでやるか」と驚くほどの熱血ぶりで選手は鍛えられた。犬塚も投球フォームを安定させるための股関節周りの強化や、右打者の内角、左打者の外角攻めなどの徹底指導で飛躍的に力を伸ばした。

 広陵(広島)との決勝で、野村祐輔(広島)-小林誠司(巨人)のバッテリーに先発・馬場とともに投げ勝った久保副部長。甲子園のヒーローが、チームに勇気と元気を注入している。【菊川光一】