これが、計107発のドラフト候補コンビの底力だ。第98回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)茨城大会で、明秀学園日立が延長10回の末、2-1で古河三を競り落とした。4回無死満塁でドラフト候補の細川成也投手(3年)がリリーフ。2安打13三振に粘投すると、1-1の延長10回表、同じくドラフト候補の糸野雄星内野手(3年)が通算46号の決勝ソロを放った。

 チームを救ったのは、やはりこの2人だった。エース細川が7回2安打13三振無失点と好救援すれば、糸野も黙ってはいられなかった。延長10回。逆方向の右翼席へ、弾丸ライナーで突き刺した。「2人で引っ張っていきたい気持ちが強いので、うれしかった。単打を狙った延長がホームランになりました」と、初戦突破を決める通算46号の決勝弾に自信を深めた。

 古河三・須藤佑の前に3回まで内野安打2本止まり。不穏な空気の中、4回に無死満塁のピンチを迎えると、右翼から細川がマウンドへ走った。中学時にジャベリックスロー(やり投げ)で全国2位に入った持ち主は、打っては高校通算61発。投げては最速146キロを誇る。内野安打で1点先制を許したが、後続を3者連続三振で切った。「打つ方は力んで全然だめでしたが、投手としては最少失点で抑えられました」と4打数無安打を恥じながら、遠慮がちに笑った。

 糸野は、良きライバルの好投に奮い立った。延長に入るまで無安打だったが、ここぞの場面で外角高めの直球を仕留めた。ネット裏にはDeNA、ロッテなど6球団のスカウトが集結した。「(スカウトの姿は)特に気になりませんでした。今は頂点を狙うだけ。次も絶対負けません」と、春にコールド負けを喫した石岡一との次戦を見据えた。

 八戸学院光星(青森)で巨人坂本などを育てた金沢成奉監督(49)も「糸野の値千金の一打。そして、細川が(4回の)無死満塁を1点で抑えてくれたのが最大の要因」と喜んだ。投打の軸が力を発揮。初の甲子園出場へ向け勢いづいた。【和田美保】