第98回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)の北北海道大会が今日15日、旭川スタルヒンで開幕する。14日には出場17校が公式練習を行った。3年ぶり出場の滝川西は、空知地区予選全2試合で無安打無得点投球を見せ、一躍注目を浴びたエース小野寺蒼吏(あおり=3年)が、北大会でも無失点継続へ意欲。

 北の主役を射止めるのは、誰か-。好選手ひしめく今夏の北大会。空知地区予選で、ぐぐっと注目度を上げた滝川西の“ドクター0”エース小野寺は、昨秋全道大会以来となるマウンドを確かめ「調整は順調」と、静かに闘志を燃やした。先発した地区予選2回戦では、7回まで投げ無安打無得点。続く代表決定戦は7回参考ながら完全試合を達成し、計14イニングで0安打0点。防御率はもちろん、0・00だ。

 「真っすぐに各打者が合ってなかった。変化球は1試合で3~5球くらいしか投げていない」と言うのだから、恐ろしい。最速138キロの直球勝負で1安打も許さず、22奪三振。「運が良かっただけ。安打はそのうち打たれると思うので、点を許さないことが大切」と、北大会では無失点継続を目標に掲げる。

 身長183センチ、体重84キロと均整の取れた本格派だが、昨秋までは自己中心的な投球が目立った。内野手のエラーにいら立ちを隠せなかったが、今は違う。昨秋全道大会で北海道栄に打ち込まれ初戦敗退した後、練習試合で捕手や一塁、右翼、左翼とさまざまな守備位置を経験し「内野手だって、エラーをしたくてしているわけじゃない」と、身をもって知ったからだ。

 精神面の成長に比例するように、投球も安定してきた。「試合中に各ポジションに声掛けが出来るようになった。夏は思った以上の投球」と小野寺大樹監督(40)。マウンドを支配する能力が備わり、ベンチの信頼度も増した今夏、指揮官は「基本的には小野寺の先発完投で」と決めている。

 中学まで続けた剣道は2段の腕前。「北大会はロースコア勝負になると思う。しっかり抑えて甲子園へ行きたい」。18年ぶりの甲子園切符が、その右腕に懸かっている。【中島宙恵】