積み重ねた知力と工夫で、十勝の剛腕を攻略した。1回、四球と暴投でいきなり1死三塁のチャンスを得た滝川西は「バットを短く持って中堅から右方向へ流す意識だった」という3番堀田が、高めに浮いたスライダーを捉えて先制の右前適時打。最速154キロ左腕、江陵の古谷に先制パンチを浴びせると、5回には死球で出塁した主将の安居が、すかさず二盗を決め、さらに一、二塁から今度は一塁走者の堀田とともに重盗で三塁へ。これが相手捕手の悪送球を誘い、無安打で2点目をもぎ取った。

 「(準々決勝の)釧路工戦を見て、簡単に打ち崩せる相手じゃないと思った」と安居。だが、攻略法は必ずある。1点差に迫られた直後の7回に、再び適時三塁打を放った堀田は「コンパクトに振り抜けば何かが起きる」と速球対策を徹底。足で魅せた安居も「投手は打者勝負でモーションが大きかったし、捕手は球を受けるのに必死で走者を気にしてなかった」。バッテリーの動きを冷静に分析し、スタートを切った。

 OB小野寺大樹監督(40)が現役だった94年以来となる空知勢での決勝対決。春の地区予選で敗れたクラークに雪辱した先に、18年ぶりの甲子園が待っている。【中島宙恵】