八王子学園八王子が、早実の2年連続甲子園を阻止した。第98回全国高校野球選手権・西東京大会は準々決勝が行われ、同校が6-4の逆転勝ち。2投手のリレーで清宮幸太郎内野手(2年)に本塁打を許さなかった。3点リードで迎えた9回1死一、三塁。清宮に1発が出れば同点となる場面では米原大地投手(2年)が速球勝負を挑み、右飛(犠飛)に仕留めて逃げきった。昨夏大敗した難敵を撃破して、悲願の初優勝にまた1歩前進した。

 清宮が打席に入ろうとする直前、八王子学園八王子の内野陣がマウンドに集まった。9回1死一、三塁。1発が出れば同点の大ピンチだった。「僕は勝負したいと思いました。3年の先輩も勝負だと言ってくれました」。米原が振り返った。

 その初球だ。135キロの内角速球を清宮が捉えた。打球は右翼後方へ高々と上がり、2万3000人の観客から大歓声があがった。米原は「本塁打と思った。ライトが落下点に入ったのを見て(右犠飛と)分かりました」。細野悠捕手(3年)も「外はうまく打つので内を要求した。ちょっと甘く入ったので、やられたと思いました」と話した。

 安藤徳明監督(54)は、この勝負を選手に任せた。「お前らで決めろと言ったんです。中途半端にしたくなかった。勝負するなら思い切って中へ投げろと」。同監督は清宮対策をこう考えていた。「得点圏に置いたら勝負しない。低めはうまいんで、高め勝負。まあ打ち損じを待つしかないですかね」。先発の早乙女大輝投手(2年)はそんな指示を受け、二塁打1本(2四球)に抑えた。早乙女は「100キロのボールも使ってかわそうと。緩急を使いました」と説明した。

 八王子学園八王子は昨夏、同じ準々決勝で早実に敗れた。一昨年秋の都大会では3回戦で敗れた。そんな相手にも逃げず、真っ向勝負を挑んだ米原がこう話した。「(清宮は)あれだけ活躍している選手だけど、同級生ですから。抑えたら自信になる。逃げたら次もずっと逃げ腰になるんで」。難敵を倒したシード校が悲願の甲子園に「あと2勝」と迫った。【米谷輝昭】