盛岡大付が弱点とされた投手陣が踏ん張り、2年ぶり9度目の甲子園出場を決めた。8回に敵失で奪った虎の子の1点を、4回から2番手で登板した2年生左腕・三浦瑞樹が守り切り、一関学院を1-0で退けた。準決勝まで5試合連続2桁安打と強力打線のイメージが強いが、三浦の成長などもあり今大会6試合のチーム防御率は0・41。総合力を高めて全国高校野球選手権(8月7日~、甲子園)に乗り込む。

 2年生三浦がジャンプしながら、捕手の伊藤勇貴(3年)と抱き合った。奪った1点は自らホームを踏んで、9回は3者凡退で締めた。先発して6回2/3を投げた準決勝からの連投で、甲子園を勝ち取った。「3年生の分まで戦うことができた」。昨秋の新チーム結成から、先輩に叱咤(しった)激励を受けた。感謝の気持ちを伝えたかった。

 0-0の8回1死満塁。三浦は三塁走者だった。3番植田拓外野手(2年)は右飛に終わったが、一関学院の右翼手が捕球後、送球の体勢に入った時に落球した。「三塁コーチからゴー、と言われて必死に走った」。本塁に滑り込んで均衡を破った。

 強力打線が自慢の盛岡大付。初戦から準決勝まで5試合連続2桁安打をマークしたが、決勝は6安打と苦しんだ。関口清治監督(39)は「うちの負けパターン」と言い、今春までなら崩れていた三浦が救った。

 花巻東との春の県大会準決勝、八戸工大一(青森)との東北大会1回戦。ともに登板して逆転を許したのが三浦だった。だが関口監督は「三浦の成長がなければ甲子園はない」と判断し、強豪校との練習試合は必ずマウンドに立たせた。主将の石橋泰成内野手(3年)は「激しい声をかけた。はい上がって来いって」と明かす。2年生左腕は経験を積みながら「いいコースに投げられるようになった。ピンチになっても冷静になれば三振が取れる」。夏を前に精神面の強さ、制球力もレベルアップした。

 今大会5試合に登板して、何度も窮地を脱した。計22回2/3を投げて2失点。その好投に、背番号1の右腕井上涼平(3年)ら3投手も刺激された。この日、井上は先発して3回無失点と試合をつくった。全6試合が継投だが接戦は初めて。関口監督は「普段なら考えられない完封リレーだったと思う」と驚く。4投手で防御率0・41を残した。

 三浦は「自分に負けない気持ちを」と憧れの地に思いをはせた。2年前は松本(現ソフトバンク)を擁して、念願の夏初勝利を挙げた。関口監督は「こういう戦い方ができるという自信を持った」と言った。新たな武器、投手力を手にした盛岡大付を、甲子園が待っている。【久野朗】

 ◆盛岡大付 1958年(昭33)に生活学園高校として創立の私立校。63年に女子校から共学となり、90年から現校名。生徒数は487人(女子190人)。野球部は80年創部。部員116人。甲子園出場は春3度、夏は9度目。OBにソフトバンク松本裕樹、OGにタレント山川恵里佳ら。所在地は岩手県盛岡市厨川5の4の1。赤坂昌吉校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦16-1盛岡農

3回戦7-0福岡

4回戦6-0不来方

準々決勝14-0高田

準決勝13-3専大北上

決勝1-0一関学院