岡山大会で創志学園が前代未聞の判定変更の末、逆転で夏の甲子園初出場を決めた。1点を追う9回1死一塁から難波侑平外野手(2年)の投手前のゴロから二塁を経由し、一塁へ。併殺でゲームセットと確信した玉野光南ナインは、マウンド上で歓喜の輪をつくった。だが、審判団の協議の末に難波の打球が左足に当たる自打球だったと判定が変わり、ファウルで試合再開。再開後の初球を右前にはじき返して広げたチャンスで一気に試合をひっくり返した。春に続く甲子園行きの切符をもぎ取った。

 創志学園は息を吹き返した。打ち直しとなった難波は「覆ると思っていた。1球しかない。がむしゃらに1球に食らい付いていた」。打球が一、二塁間を破ると、流れは完全に創志学園に変わった。

 勝利を信じて、しばらく整列を崩さなかった玉野光南は失意に突き落とされた。気持ちを切り替えようとしたが、マウンドの浜口祐真投手は「勢いに押されて自分の球が甘くなってしまった」と唇をかむ。連打で満塁。遊撃手のグラブをはじく適時打で逆転を許すと、さらに2点を失った。

 最後は3回戦から1人で投げ続けるプロ注目右腕、高田萌生投手(3年)が締めた。「本当はなかった9回裏のマウンドに上げてもらった。自然と力が入った」。この日最速148キロを計測するなど、3者凡退で締めくくった。長沢宏行監督(63)は「後味が悪くなってしまった。相手の気持ちを考えると、これ以上は何も言えない」と言葉を選んだ。【前原淳】

 ◆創志学園 1884年(明17)に創設の私立校。1998年に女子校から共学。10年から現校名となり、野球部も創部。生徒数は570人(女子362人)。部員数は95人。甲子園出場は春2度。夏は初出場。主なOBはオリックス奥浪鏡。所在地は岡山市北区下伊福西町7の38。谷川安弘校長。

◆Vへの足跡◆

1回戦8-0津山東

2回戦10-0津山

3回戦5-1岡山東商

準々決勝6-0岡山理大付

準決勝7-1おかやま山陽

決勝4-1玉野光南