夏では6年ぶりとなった「常葉対決」は、常葉学園菊川が12-0で常葉学園橘に圧勝。優勝した2013年(平25)以来3年ぶりの決勝へ駒を進めた。

 常葉学園菊川のエース落合竜杜(3年)は、最後の打者を中飛に打ち取ると、力強く左拳を握った。春季県大会2回戦でサヨナラ負けを喫した常葉学園橘にリベンジできた達成感がこみ上げる。「緊張するタイプなのに今日はなかった。リベンジする気持ちでいけました」。夏舞台では10年決勝で負けて以来6年ぶりの「常葉・同門対決」を、落合の投球術で制した。

 初回から内角直球でストライクを奪いながら、効果的にチェンジアップを投じた。三振を奪える速球はなく、緩急で勝負。春に東海を制した相手打線を翻弄(ほんろう)し続け、99球で完封した。「チェンジアップは(春に)橘に負けた後に覚えた球。早いカウントで打たせて取れました」。

 エースのリズムに強力打線も乗った。相手エース谷脇対策で高めの速球を見極め、低めに狙いを絞った。5回、プロ注目の栗原健(3年)が内角低めのシンカーを狙い打ち。右翼席上段まで届く高校通算47号が、さらなる勢いをもたらした。結果、計16安打で12得点。栗原は「一番成長した落合のために頑張ろうと思った」と言い、落合は「栗原に『オレが打つからお前が抑えろ』と言われていたから」と感謝を口にした。

 投打の軸が圧勝劇を演出し、13年以来の決勝進出を決めた。08年の夏の甲子園で準優勝した常葉学園菊川のフルスイング打線にあこがれて入部した年代。「フルスイングで3年ぶりの甲子園を目指します」と栗原は言った。ノーシードのV候補が、ついに5度目の夏の甲子園に王手をかけた。【藤中栄二】