「ふじっしー」こと東邦のエース藤嶋健人投手(3年)が2日連続の完投で、春夏連続出場を決めた。愛工大名電に7-2と快勝し、自身が1年だった14年以来2年ぶり夏の甲子園だ。「2年半やってきたことを思い出しました。人生の中で一番うれしい瞬間でした」。最後を右飛に打ち取り優勝が決まると、両手を大きく広げ、雄たけびを上げて喜びを爆発させた。

 7回に最大のピンチを迎えた。5点リードながら、四球などで無死満塁。迎えた代打への1球目がボールになった。すると、ベンチから伝令が送られた。「へばってきたな、代えるか?」。森田泰弘監督(57)の言葉が伝えられたが、藤嶋は「いけます」と即答。前日29日の準決勝で143球完封でも、マウンドは譲らない。

 ギアを入れ、見逃し三振、空振り三振、右飛と無失点で切り抜けた。9回にはこの日最速の141キロを計測。封印していたカットボールも4番高橋の打席で解禁し、見逃し三振に仕留めた。最後の甲子園に向けて投球の幅も広がった。「思い切って楽しんで全国制覇したい」。クラスで「ふじっしー」と呼ばれて親しまれる男が、3度目の甲子園でも大暴れする。【宮崎えり子】

 ◆東邦 1923年(大12)東邦商業学校として創立した私立校。48年、現校名に。生徒数1667人(女子936人)。野球部は30年創部。部員84人。甲子園は春28度。夏は17度目。主なOBに中日岩田慎司、DeNA関根大気ら。名古屋市名東区平和が丘3の11。佐々木泰裕校長。

◆Vへの足跡◆

3回戦5-0渥美農

4回戦9-0東郷

5回戦8-0時習館

準々決勝3-2享栄

準決勝3-0栄徳

決勝7-2愛工大名電