埼玉の天才打者が本塁打発進した。花咲徳栄・西川愛也外野手(3年)が今夏初戦で豪快弾を放った。1-1で迎えた3回の第2打席で右翼へ高校通算27号となる勝ち越し2ラン。視察したベテランスカウトたちをうならせた。チームは11-1で5回コールド勝ち。3年連続の夏の甲子園へ好スタートを切った。

 3回、低いグリップの位置から独特の動作で高々とトップを作ると、西川の銀色の金属バットが内角直球を完璧に捉えた。右から左への逆風をものともせず、勝ち越し2ランとなる白球が緑の右翼芝生席に弾んだ。

 部員わずか10人の越谷総合技術相手の夏初戦。独特の雰囲気なのか、2回表にまさかの先制を許す。その裏同点に追いついたが、3連覇を目指すナインにはまだ硬さが感じられた。そんな雰囲気を天才打者のバットが一振りで払拭(ふっしょく)した。勝ち越し2ラン。これで肩の力が抜けた花咲徳栄打線は打者一巡の猛攻で9点を奪い試合を決めた。

 惜しかったのはこの回に回ってきた第3打席。内角低めを捉えた打球は高々と右翼に舞い上がる。逆風に押し戻されフェンス手前で失速。1イニング2本塁打は逃したが非凡な才能にネット裏で視察したベテランスカウトがうなった。