星野は今大会初の先発起用だったが、1回には遊撃の守備で、先制点を許す悪送球。「ミスを取り返したかった」とバットで帳消しにした。試合観戦した父修一さん(46)は「あんなに楽しそうに野球をやっているのを見たのは初めて」と喜んだ。3歳の誕生日に玩具のバットとグラブを買ってもらい、祖父とキャッチボールのまねごとを始めた。小学1年から野球を始め、小、中学では部員が少なく大敗する試合が多かったというが、野球人生で初の栄冠を手にした。

 投のヒーローは、7回途中から救援した背番号3の井上莞嗣一塁手(2年)だった。9回を4安打1失点。延長15回まで138球の熱投だった。最後はマウンドの井上にナインが駆け寄り、歓喜の輪ができた。井上は「バックを信じて投げられました」と胸を張った。

 84年、取手二(茨城)の全国優勝メンバーの小菅監督の教えは「ミスを気にせず、取り返して行こう」。メンタル強化のため専門家を2週間に1度招聘(しょうへい)し、前向きに考える力を培ってきた。1回戦の小瀬戦では0-7から逆転勝利し、この試合最大5点差を逆転したのも精神的な強さがあるからだ。星野は「甲子園でもまた野球を楽しみたい」。聖地・甲子園でも伸び伸び野球を展開する。【戸田月菜】