第99回全国高校野球選手権大会は、花咲徳栄(埼玉)の初優勝で幕を閉じた。悲願の白河越えを狙った東北勢は、準々決勝で仙台育英(宮城)盛岡大付(岩手)が敗れ、8強進出が最高成績だった。「みちのくプラス!!」では、デスクと記者の対談形式で、第100回大会のスター候補生を1年前から先取りします。ぜひ注目して下さい!

 デスク 夏が終わったばっかりだっていうのに、もう100回大会の注目選手をやるのか。随分、気が早いな。

 記者 何を言っているんですか。来春のセンバツにつながる秋の地区大会は既に始まっています。1年後なんて、あっという間ですよ。

 デスク そんなに言うなら、誰に注目すればいいんだ?

 記者 今夏に3本塁打を放った青森山田・中沢樹希也外野手(2年)に注目です。2年生での大会3本塁打は、横浜の筒香嘉智(現DeNA)以来です。

 デスク 青森山田のキン肉マンっていう原稿が飛び出して、びっくりしたぞ。

 記者 プロテインを1日8食摂取し、独学で筋トレを研究する筋肉オタクです。さらに面白いのが、中沢のコメントです。2打席連発弾で勝った彦根東(滋賀)との初戦後には「筋肉も喜んでいると思います」、東海大菅生(西東京)に敗れた時は「酷使してきた筋肉にお疲れさまと言いたい」と、筋肉を意識したコメントを連発してくれました。

 デスク 秋から徹底マークが必要だな。投手の注目は?

 記者 明桜の最速146キロ右腕、山口航輝(2年)が断トツです。秋田大会決勝で、一塁けん制の帰塁時に右腕から突っ込んで、右肩を亜脱臼しました。夏本番のマウンドには立てませんでしたが、秋には間に合う見込みです。

 デスク 明桜の輿石重弘監督(54)は山口を使えず、苦しかったな。

 記者 後日、輿石監督は決勝が終わった直後は「山口の負傷で、優勝しても全く喜べなかった」と明かしました。最速146キロの直球だけでなく、手先が器用で多彩な変化球を操ります。打撃もよく、4番としてもチームをけん引します。

 デスク 他の甲子園出場校の注目下級生はどうだ?

 記者 仙台育英では鈴木佳祐内野手、聖光学院(福島)では矢吹栄希内野手、日大山形では斎藤史弥内野手(いずれも2年)が下級生唯一の先発組。3人に共通しているのが、左打ちのシュアな打撃が魅力で、チャンスにも強いです。

 デスク 4季連続甲子園を狙う盛岡大付は?

 記者 背番号17でベンチ入りした松本跳馬(しゅうま=2年)は、14年のドラフトでソフトバンクに1位指名された松本裕樹の弟。兄とは違い左腕で、今秋はエースとして期待がかかります。

 デスク 一方で今夏の甲子園不出場組にも、注目選手はいるんだろ?

 記者 本格派右腕としては、八戸学院光星(青森)の福山優希(2年)の名が挙がります。上手投げから140キロを超す直球を投げ込み、今夏の決勝は青森山田に敗れて準優勝。今春からエースを任されており、さらなる成長に期待です。

 デスク 左腕では、東北(宮城)が面白そうだな。

 記者 その通りです。182センチの長身、葛岡仁に、メガネッシュ2世こと古川原将真(ともに2年)の左腕コンビは今夏も大車輪の活躍をしました。

 デスク 打者ではどうだ。

 記者 聖光学院に秘密兵器がいます。その名も須田優真内野手(2年)。1年秋から4番を任された大砲でしたが、今春から右肘痛でベンチを外れ、甲子園でも応援要員でした。180センチ、82キロの右の長距離砲で、先輩のオリックス園部聡になぞらえ「園部2世」とも言われていました。この秋に復帰を果たして、矢吹と2枚看板を形成できれば面白いですね。

 デスク あと、この夏最大の衝撃を忘れてないか。

 記者 大船渡(岩手)の佐々木朗希投手(1年)ですね。今夏の公式戦初登板で147キロをたたき出し、度肝を抜かれました。一転、秋の地区大会ではベンチから外れました。中学時代は日本ハム大谷翔平と同様に成長痛に苦しんでいただけに、慎重な起用が続きます。県大会でベンチ入りしたら当然、徹底マークです!【取材・構成=高橋洋平】