“三浦劇場”で5年ぶりの8強だ。旭川龍谷が8-6で遠軽を下した。先発登板した1番・三浦大夢(2年)が初回の先頭打者本塁打含め3安打3打点、投げては先発&抑えで計8回1/3を9安打5奪三振3失点と力投した。

 “三浦劇場”は先頭打者本塁打から始まった。初回。旭川龍谷の三浦はカウント1-1からの3球目、外角低めの直球をフルスイングした。打球は風に乗り、中越えにスタンドイン。高校通算15本目のアーチに「打った瞬間、入ったと感じた」。続く2、5打席目も適時打を放ち、チームトップの3打点を稼いだ。

 先発のマウンドで躍動した。力強い直球を軸に7回まで3失点。さらに2番手に譲った8回。2点差に迫られた2死満塁で再登板し、中飛に打ち取った。打って、先発して、抑えてと、フル回転で「自分の試合だったのかな」と誇らしげに振り返った。投手を本格的に始めたのは今春から。最速138キロの直球にスライダー、カーブなどを投げ分ける。梅田誠監督(46)は「器用で変化球でも腕が振れる」と評価する。

 マルチな能力は幼少期から発揮された。草野球でプレーする父の影響で、3歳から野球を始めた。ボールは小学生向けのC号ではなく、いきなり一般向けのA号を握った。5歳で140キロを投げる投手と対戦し、バットに当てゴロを打った。小学生時代は短期間、ボクシングジムに通いスパーリングも行った。「小さい頃から速球を見て目が慣れたし、ボクシングでの反射神経も今に生きているかも」と話した。

 出身は東京で中学時代のチームメート太田翔伍投手(2年)と一緒に入学した。「雪が膝上まであって寒くて大変。だけど楽しみの方が多い。次も勝ちたい」。チーム初の東京からの野球留学生が、27年ぶりとなるセンバツ出場の要になる。【西塚祐司】