秋田でも令和最初の夏が開幕し、古豪・秋田が9-2の7回コールドで大館国際情報学院を下した。医学部志望の4番塩津健志朗捕手(3年)が2安打2打点、先制V打で開幕戦勝利に導いた。甲子園の前身である第1回全国中等学校優勝野球大会で準優勝した伝統校。第1シード明桜が待つ12日の2回戦に駒を進めた。

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不動の4番が春から続いていたスランプを「完治」させた。初回1死二、三塁、真ん中に甘く入ったカーブを捉え、先制の2点適時二塁打を放った。「狙い球は直球だったが、体がうまく反応した。春までは自分が打たないといけないと思いフォームを崩した。周りが頼もしいので楽に打席に立てた」。捕手としても的確な「診断」でタイプの違う2投手を引っ張った。直球に力のある先発の石井夢沙士(むさし、1年)と、緩急でタイミングを外す2番手・高橋真央(2年)の長所を引き出し、2失点にまとめた。

春季県大会で初戦敗退した悔しさが塩津を変えた。夏に向けて一からバッティングを見直し、1日500~600回の素振りを行うなど、振り込むことでフォームを固めた。夏初戦で2安打2打点と復活。伊東裕監督(38)は「本人、チームに勢いをもたらした」と先制打をたたえた。

将来は医師を志す塩津は「学校生活でも模範になることを心がけている」と文武両道を心掛け、早起きして自習するなど努力を重ねる。昨秋、県大会初戦の前日練習で右手中指にファウルチップが直撃。痛みはあったが、試合に出続け大会後に骨折が判明した。そのときの体験から「スポーツでけがをした人の力になりたい。将来も野球に携わりたい」と、整形外科医の夢を抱く。

次戦は春県V、東北大会準Vの明桜だ。塩津は「映像分析など準備はしている。勝利すれば甲子園が見えてくる。強い秋高を全国に見せたい」と横綱撃破に闘志を高めた。【山田愛斗】