<高校野球奈良大会:登美ケ丘4-1高取国際>◇18日◇2回戦◇佐藤薬品スタジアム

夏1勝の喜びは格別だった。登美ケ丘の5番藤原拓弥(3年)は3打数無安打に終わったが、チームの勝利をかみしめていた。「何かの縁を感じる」。この日が18歳の誕生日。自らへの大きなプレゼントになった。

新チーム結成から主将に就任。待っていたのは試練だった。不器用な性格でチームメートと衝突。「今年のチームは一言で表すと個性派軍団。選手1人1人をまとめるのに苦労した」と振り返る。徳田宏司監督も「まじめすぎるところが彼の長所でもあり、短所でもある」と語る。秋季大会は4強に進んだが、春は1回戦敗退。チーム作りの難しさを痛感した。支えになったのが甲斐龍星内野手(3年)と西智史投手(ともふみ=3年)の両副主将だった。3人でチームについてミーティングを重ねた。

まじめすぎる主将にも変化が見られた。「自分も周りを意識して、コミュニケーションを取ろうとした」。ぶつかり合いながら、チームをまとめた。この日、藤原は右翼の守備でチームに貢献。成長したチームリーダーに、徳田監督も「一番信頼していますよ」と言う。試練を乗り越えた先に、最高のプレゼントが届いた。【山崎健太】