熊本工が伝統の粘りで接戦を制し、6年ぶり21度目の夏甲子園を決めた。

2点ビハインドの6回、途中登板していた村上仁将投手(2年)が、2死満塁から右翼越えの3点適時二塁打を放って逆転。再び同点となって迎えた9回表にはスクイズで決勝点を挙げるなど2得点で突き放した。今年春から指揮を執る田島圭介監督(38)は「選手とスタンドの応援に助けられました。最後は伝統の熊工の力を借りました」と興奮気味だった。現役時代は熊本工エースだった田島監督は、選手としても経験がない甲子園に、監督に就任して初めての夏に挑むことになった。

最後を締める役目の2年生村上は、3回途中から登板。「いつもより早いと思ったが覚悟を決めて投げました」。最後まで投げきって7イニング2安打1失点と、強力な九州学院打線を封じた。打っても6回に逆転適時打。リリーフだけに打席は少なかったが、今夏初安打が値千金の一打となり「打つ方は得意だが、あまり貢献できなかったので」とここ一番で大きな仕事をやってのけた。「松坂投手が好きで、直球で三振が取れるところに憧れる」という2年生右腕が、甲子園でも「リリーフエース」として伝統の熊本工マウンドを守り抜く。【浦田由紀夫】