主将重宮涼内野手(3年)の逆転打で試合をひっくり返したセンバツ4強の明石商が7-4で姫路南を下し、4強進出を決めた。

「チャンスでおれに回せよ。絶対打つから」。初回、3点を失いマウンドでの守備のタイム中に「場を和ませるつもりだった」と主将重宮は2年生エース中森に笑いかけた。重宮は1打席目に左前に安打を放った。「今日はよく球が見えている。打てるかも」と好感触。励ましは、あながち冗談ではなかった。その後、6回に2点返し、迎えた7回。追う展開でも主将に焦りはなかった。3連続四死球で無死満塁の好機では「自分が決めるではなく、単打で後ろにつなぐつもりだった。運良く長打になった」と走者一掃の中越え二塁打。明石商側スタンドがどっと湧き「メンバーからもれた3年生のためにも打ててよかった」と渾身(こんしん)のガッツポーズを声援をくれた仲間に送った。

狭間善徳監督(55)は「重宮の1打に尽きる」と主将の殊勲打を評価。「5回終了時点で0-4。『開き直って思い切っていこうや』と選手に声をかけた。諦めずに戦った勝利」と逆転勝利に安堵(あんど)の表情を浮かべた。最後まで逆転を信じて諦めない。改めて明石商の強さが証明された。【松本直也】