「考える野球」が実を結んだ。国学院久我山が91年以来、28年ぶり3度目の甲子園出場を決めた。

迷わずに決断した。1点リードの2回1死一、三塁で青木友宏内野手(3年)はバントの構えを見せた。2球失敗し、カウント1-2。尾崎直輝監督(29)からのサインは「打て」。しかし、「自分が死んでもいい。ここでしっかり1点取る」と明確な意思があった。失敗すれば好機をつぶしかねない状況でセーフティースクイズを敢行し、貴重な追加点を挙げた。創価の古川風勝投手(3年)も「来ると思っていなくて驚いた」とお手上げの攻撃で、流れをつかんだ。

練習では、1つのプレーにも尾崎監督から「どう思う?」と問われる。考えを伝えると「それで行け!」と背中を押される。サインと異なるスクイズにも、ベンチでは温かくハグで迎えられた。青木は「普段から選手たちで主体的に考えさせてもらっている。(スクイズを)決められて良かった」とほっとした。

先発の高下耀介投手(3年)は「どういう投手になりたい?」と聞かれ、導き出した答えは「頭を使い、ゲームをコントロールできる投手」。球速より配球やタイミングを追求してきた。4試合連続完投で「疲れはあった」と認めるが、ピンチでも落ち着いた投球が光り、2失点に抑えた。

選手の躍動に、尾崎監督は「彼ら自身で考え、自信を持ってプレーしていた」と絶賛した。新チーム結成から掲げてきた「甲子園での校歌斉唱」という目標。過去2回は果たせなかった聖地での初勝利を目指す。【飯岡大暉】

◆国学院久我山 1944年(昭19)創立の私立校。生徒数1387人(女子451人)。野球部も同年創部。部員数66人。甲子園は春3度、夏は3度目。主なOBにロッテ井口資仁監督、元日本ハム矢野謙次氏ら。所在地は杉並区久我山1の9の1。国清英明校長。