センバツはじめ、アマチュア球界も大会やリーグ戦の延期・中止が続きます。開幕を待つ皆さんへ、今秋ドラフト指名候補に挙がる選手を紹介していきます。

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プロ注目の最速146キロ左腕は、苦難の高校ラストイヤーをプラスに変える。春季北海道大会は中止になったが、苫小牧中央・根本悠楓(はるか=3年)に下を向いている暇はない。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全体練習は時間が限られる。「こういうときこそ、個々で意識高く自主トレできるかで夏が決まる」。白老町の自宅に帰宅すると、近所の小学校でキャッチボール、素振り、体幹トレをこなし、夕飯を挟み肩周りと股関節の柔軟体操、就寝前に握力トレと、びっしりトレーニングして布団に入る。

白老白翔中3年時に全国中学大会決勝で完全試合達成。U15日本代表入りし、アジア選手権の全勝優勝に貢献した。苫小牧中央で軟式から硬式に転向し「軟式は上半身で投げられたが、硬式ではボールが重くなる分、下半身を使い、抜け球を減らせるように鍛えてきた」と言う。肉体は日々進化し、体重は高校入学時から10キロ増え80キロ。最速も136キロから昨秋、146キロに伸ばした。

練習の虫で、渡辺宏禎監督(51)は「入学時から変わらず熱心。やるべきことをやっているからけがをしない」と言う。2月28日から3月27日までの部活休止期間は、トレーニングの合間にオリックス山本の投球動画を繰り返し見て「肘の負担を減らす方法を研究した」。腕をコンパクトにたたむ自身の無駄のないフォームを、さらに整えた。

高校では1、2年と地区予選敗退で、道大会すら出場できていない。特に昨年は、3季連続で甲子園優勝経験のある駒大苫小牧に惜敗。今夏にかける思いは強く「何とか夏の道大会に行けるように。そして甲子園を視界にとらえたい」。和牛の街白老発、聖地経由プロ行きの道のりを思い描く。【永野高輔】