今夏の高校野球地方大会の開催可否について、日本高野連は各都道府県高野連の判断に任す方針であることが14日、分かった。20日の運営委員会で第102回全国選手権大会(夏の甲子園)の開催可否を協議するが、仮に甲子園が中止となっても、地方大会まで一律中止とはしない。この日、39県で緊急事態宣言の解除が決まった。各県高野連に「甲子園中止の場合、県独自の大会を開くか」を取材。過半数の20県から、独自開催の意思ありの回答があった。

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地方大会の開催可否は、各都道府県高野連の裁量となる。関係者の話を総合すると、仮に甲子園が中止となっても、日本高野連は全国一律中止とはしない方針だ。小倉事務局長は13日付の書面で「(各都道府県高野連に対し、全国一律で無観客開催を要望するという)通達は出していません」と回答。観客を入れるか、日程に変更を加えるかなどの詳細についても、主催者である各高野連と朝日新聞各総局で協議して決めることとなりそうだ。

新型コロナウイルスの感染状況は都道府県によって大きく異なる。いまだ感染者0人の岩手では、県内限定で練習試合も行われている。全国最多の感染者を出している東京では、多くの高校が休校を続けており、野球部も活動休止がほとんど。この日、緊急事態宣言の解除が決まった県では、近く休校が解かれ部活動も再開するのでは、という期待が出ている。いずれにしても、感染状況は短期間で大きく変化する可能性もあり、各自治体とも連携し、地域の事情に即して判断するしかない。

日本高野連は、20日の運営委員会で甲子園の開催可否を協議する。各高野連は夏へ向けた準備を進めつつ、20日の結果を注視している。

 

<緊急事態宣言解除39県の考え>

たとえ甲子園中止の場合でも、県独自の大会を開くか? 緊急事態宣言解除が決まった39県のうち、35県から回答を得た。

過半数の20県が「意思あり」。いずれの県も検討を重ねている段階だが、積極的な回答は「甲子園が中止になっても、岩手の球児たちに最後の舞台、花道を構築できれば」(岩手)「日本高野連が任せてくれるならやりたい」(茨城)「3年生のためにやりたい」(岐阜)「教育的な意味で3年生にいい形で終わらせたい」(愛知)「甲子園があるなしにかかわらず県大会はしたい。感染対策も検討している」(香川)「全国大会開催可否にかかわらず開催の方向で検討する」(大分、宮崎)など。当然、今後の状況にも左右されるため、慎重な姿勢を崩さない県も少なくない。それでも「何かしらやりたい考えはある」(山梨)「何らかの検討をしたい」(長野)と開催意思をにじませた。

「検討中または今後検討」は12県。20日の運営委員会の結果を見て検討したいという回答が多かった。現時点では開催意思を明言できなくても、3年生のために何かしてあげたい気持ちをにじませる関係者も多かった。「何とも言えない」とした3県は、日本高野連の決定を待たないと答えようがないというもの。今後、これら15県の中でも、独自開催の検討が進む県は十分ありそうだ。

 

<緊急事態宣言続く8都道府県の考え>

緊急事態宣言が続く8都道府県の中でも、独自開催の道は探られている。東京は甲子園の開催有無にかかわらず、夏の大会準備を進める基本方針を確認済み。千葉も独自開催を選択肢に入れている。大阪は20日の運営委員会の結果を受けて対応していくが、中止でも独自開催することを検討している。