南北海道大会が3日、開幕した。苫小牧中央は知内を2-0で下し、初戦を突破した。プロ注目の最速146キロ左腕、根本悠楓(はるか=3年)が先発して、被安打4の完封。徹底した根本対策を取った相手の上をいく投球で地区からの連続完封を3に伸ばした。

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幼なじみとの最後の夏が終わった。知内のエース斎藤陽日樹(ひびき、3年)は8回2失点完投。プロ注目、苫小牧中央の根本と堂々と投げあった。6回まで無失点と好投も7回につかまった。2死二、三塁から中前適時打を浴び2失点。「内角を突こうと思ったが真ん中にいってしまった。序盤はいい投球ができていた。最後まで続けられていたら。終盤、握力がなくなっていた」と悔やんだ。

この後、二盗を許し2死二塁となった時点で、森善斗捕手(3年)がマウンドに駆け寄った。「まだ2点。本塁を踏ませなければいい。思い切って投げてこい」。留寿都小5年からバッテリーを組み、留寿都中時代も含め、ずっとコンビを組んできた女房役の言葉に勇気づけられた。斎藤は「いつも、ここぞというときに声をかけてくれる」。後続を絶つと以降、8回の最後のマウンドは無失点と、頭を切り替えた。

斎藤は当初、他校に進学予定だった。「中学では初戦敗退ばかりで、2人で同じ所に行ったら、また勝てないのではと思った」。希望していた高校に合格できず、既に進学を決めていた森善に誘われて同じ知内へ入学。甲子園はなくなったが、2人で力を合わせ地区大会を突破し、円山の舞台を踏んだ。「ここまで来られたことが誇り。善斗と一緒に知内に来て良かった」。成長できる環境を与えてくれた相棒に、心から感謝した。【永野高輔】

▽知内の吉川英昭監督(44) 甲子園がなくなるという厳しい状況の中、3年生は泣き言ひとつ言わずにやってくれた。胸を張ってもらいたい。